カッパ・クリエイト社長(当時)の田辺公己氏が、競合他社の内部データを不正に持ち出した疑いで逮捕された。田辺氏は取得した情報を「大した内容ではない」と語り、カッパ社も「情報の活用は確認されていない」と主張する。だが、ライバルの営業情報を入手できれば「経営判断に大きなアドバンテージとなる」と業界関係者は断言する。


「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長(当時)が9月30日、競合する「はま寿司」の営業秘密を不正に取得したとして、不正競争防止法違反容疑で逮捕された。警視庁は10月2日、同法の両罰規定を適用し、法人としてのカッパ社を書類送検した。カッパ社は、はま寿司と自社商品の原価を比較する資料を作成するなど組織的にデータを使用した疑いがある。
一部報道によると、田辺氏は逮捕前の任意聴取で持ち出した情報について「大した内容ではない」と語ったという。3日に田辺氏は社長を辞任し、後任に山角豪氏が就任。同日の記者会見で山角氏は、「(取得した情報が)具体的に活用された事実は確認されていない」と説明した。
カッパ社の2021年7月のニュースリリースによると、田辺氏は20年11月から12月中旬にかけて、はま寿司の元同僚から同社の日次売り上げデータなどを数回にわたって個人的に送付を受けていた。はま寿司を運営するゼンショーホールディングス(HD)は、22年9月30日のリリースで、「元社員(田辺氏)が退職する直前にはま寿司の仕入れに関する商品原価情報を不正に持ち出し、取得していた」と説明している。
情報あれば「店舗開発」容易
取得された情報は組織的に活用されたのか。真偽は今後明らかになるだろう。しかし、仮に競合他社の売り上げや原価などの機密情報があれば、何ができるのだろうか。ある中堅回転ずしチェーンのトップを務めた経験を持つA氏は、「仮に手元に競合の売り上げや原価情報があれば、重要な戦略策定にも生かせる」という。
競合他社の店舗売り上げと商品原価に関する情報は、少なくとも2つの経営判断の指標となり得る。
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