ジャンルやレシピなどを有力店から模倣するのは当たり前。そんな生き馬の目を抜くような外食業界は、はやり廃りも激しい。そんな課題を克服しようと、不動産事業者と組んで長期的な視点でレストランづくりを進める企業も出てきた。その1社が、飲食店を手掛けるミナデイン(東京・港)。縁もゆかりもなかった千葉県佐倉市の住宅地に地元密着型のレストランを開いた。同社を2018年に創業した大久保伸隆氏は居酒屋「塚田農場」のヒットに貢献し、エー・ピーカンパニー(現エー・ピーホールディングス)の副社長を務めた人物だ。なぜ大久保氏は郊外の住宅地に目をつけたのか。

■本連載の記事一覧
(1)切れた「モルヒネ」 外食に真の危機が訪れる
(2)外食が変われなかった10年 2つの「追い風」で危機感緩む
(3)ロイヤルHD菊地会長「多店舗化の呪縛から抜け出せ」
(4)淡路島に出現した「外食の町」 バルニバービの“非常識”立地戦略
(5)食品販売が売上高の6割に 「大阪王将」を導いた“逆算”
(6)外食の「連邦経営」掲げるクリエイト 個人店とチェーンの間に活路
(7)「スマホでチップ」で下がった離職率 働きがいこそ外食の強み
(8)すかいらーく創業の横川竟氏「外食の安売りは僕の反省でもある」
(9)新橋からユーカリが丘へ 「塚田農場」の立役者が郊外を選んだわけ(今回)

 「縁もゆかりもない土地でした」。ミナデインの大久保伸隆社長はこう言って笑った。

 都心から約38km。京成線のユーカリが丘駅を玄関口とする千葉県佐倉市のニュータウン「ユーカリが丘」。ミナデインは2018年12月、ユーカリが丘内の商業施設にレストラン「里山transit(トランジット)」を開業した。

ミナデインがユーカリが丘に開いたレストラン「里山transit」
ミナデインがユーカリが丘に開いたレストラン「里山transit」

 大久保氏はエー・ピーカンパニーの副社長として「塚田農場」を成長させた後、18年6月に退職。翌月にミナデインを設立し、9月には第1号店となる居酒屋「烏森百薬」を東京・新橋に開いた。不動産会社、山万(東京・中央)の存在を知ったのはそんな頃だった。

 山万は100年単位の視点で街づくりを進める異色の不動産事業者として知られる(関連記事:「売り上げはずっと100億円でいい」山万に聞く街づくり哲学)。1979年にユーカリが丘の分譲を始め、住民の世代に偏りを生まないために宅地分譲は年200戸までという上限を守り続けてきた。民間として戦後初の鉄道事業許可を受け、82年にはニュータウンを周回する新交通システム「山万ユーカリが丘線」を開通させるなど、街の長期的な価値向上に重きを置いてニュータウンを開発・運営してきた。

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