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 外食大手のコロワイドは16日、敵対的TOB(株式公開買い付け)によって、出資比率を19%から47%に引き上げた定食チェーン、大戸屋ホールディングス(HD)の臨時株主総会の開催請求について議案の一部を修正したと発表した。内容は現取締役11人の解任議案の対象から取締役の山本匡哉氏を外すというものだ。当初は11人の解任と新取締役7人の選任を議案としていた。ここにきてなぜコロワイドは山本氏だけを解任対象から外したのだろうか。

コロワイドによる大戸屋HDの掌握が始まっている

 山本氏は大戸屋でのアルバイトを経て1997年に入社。2011年に直営事業部長、14年には取締役国内事業本部長を務め、17年からは事業会社、大戸屋のトップに就任していた。

 大戸屋では19年2月にアルバイトによる不適切動画の投稿問題、いわゆる「バイトテロ」が発覚。同年4月にはメニュー改編によって人気メニュー「大戸屋ランチ」を廃止したことなどにより、顧客離れを引き起こした。既存店売上高も16年3月期以降は年間で前の期を超えられない状態が続くなど、業績不振が続いていた。

 山本氏は20年3月末に事業会社の社長を退任。大戸屋HDの窪田健一社長が、事業会社のトップを兼任することとなった。大戸屋側は窪田氏が経営の立て直しを図るためと説明していたが、業界内では当時「業績不振の責任を取らされた解任ではないか」(外食大手幹部)との声も上がっていた。

 コロワイド側は臨時株主総会の開催請求を9日に行っており、このときは「現経営体制による事態の改善及び業績回復は困難」と記した上で、「TOBの成立を受け、取締役の刷新を行うことが急務」と大戸屋の全取締役11人を解任する議案を掲げていた。

 一方で「早期に大戸屋の再建に取り組むには既存の役員の力も必要と考えている」(コロワイド)とし、現経営陣との協議も打診していた。関係者によると、コロワイド側は複数の現経営陣に対し、留任の意思を確認していたという。その中で留任の意思を示したのが山本氏1人だった。