シダックスの祖業であるフードサービス(給食)事業を巡る争いが混迷を深めている。シダックス創業家の意向を受けたオイシックス・ラ・大地が、シダックス株式の取得を目指して8月末にTOB(株式公開買い付け)を開始したが、創業家を除くシダックス取締役会が反対を表明した。背景には、3年前に経営危機にあったシダックスに出資したユニゾン・キャピタル(東京・千代田)と、創業家の「離婚協議」のもつれがある。

 カラオケから撤退し、復活を目指すシダックスはどこへ向かっていくのだろうか。当事者の1人である、オイシックス・ラ・大地の高島宏平社長が日経ビジネスのインタビューにその真意を語った。

高島 宏平(たかしま・こうへい)
高島 宏平(たかしま・こうへい)
1973年生まれ。98年にマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社に入社。2000年にオイシックス(現・オイシックス・ラ・大地)を設立し、生鮮食品のインターネット通販事業を始める。消費者向けの野菜やミールキットの定期購入サービスを成長させ、17年に「大地を守る会」、18年に「らでぃっしゅぼーや」と経営統合した(写真=厚地健太郎)
事態の概要

 不振のカラオケ事業から撤退するなど経営危機に陥っていたシダックスは2019年、投資ファンドのユニゾンから出資を受けた。シダックス創業家はあらかじめ、ユニゾンから株式を買い取る「株主間契約」を締結。約27%の株式の買い取り額は、22年6月末までならユニゾンが出資した額の2倍に当たる80億円、7月以降なら100億円は、少なくとも必要な契約だった。

 22年、創業家は契約の実行を決意。株式買い取りには巨額の資金が必要なため、創業家はオイシックスに買い取りの「指定譲受人」となるように求めた。オイシックスはシダックスの給食事業と、自社の食品宅配事業にシナジーがあるとして応じた。

 ユニゾンは買い取り手法を、市場外の相対取引ではなく、TOBにするように要求した。オイシックスはTOBを始めたが、創業家などを除くシダックスの取締役会が反対。ユニゾンはシダックスの反対やインサイダー取引の懸念などを理由に、TOBに応募しないと表明している。

 一方、外食大手のコロワイドもシダックスに給食事業の買収を提案していたことが明らかになり、事態は複雑化した。シダックス取締役(創業家除く)は、オイシックスがTOBを完了して大株主になる前に、コロワイドなど別企業からの提案と、オイシックスを比較することがふさわしいと主張している(日経ビジネスの取材によると、コロワイドは9月14日、「混乱を避ける」などとして買収提案を撤回することを決定した)。

会議室で「食の安全を徹底的にやらなきゃいけない」

シダックス創業家の要請を受けて、TOBを実施することになった経緯について教えてください。

オイシックス・ラ・大地の高島宏平社長(以下、高島氏):我々が創業した2000年6月はちょうど(IT)バブルがはじけた頃で、非常に資金調達が厳しい状況でした。ほとんどのベンチャーキャピタルから出資を断られた中で、シダックスグループに出資に応じてもらいました。非常にありがたかった。あのタイミングでシダックスの出資がなければ、僕らは始まる前に終わっていたんじゃないかと思います(編集注:既にシダックスはオイシックス株式を売却し、資本関係は解消されている)。

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