新型コロナウイルス感染拡大の余波で変革を迫られている外食産業。長年にわたって抱えてきた構造的な問題を、訪日客と活発なシニアの消費で覆い隠していたことがコロナ禍で明白になった。生まれてから60年という「若い」外食産業は、これからどこに向かっていくのか。「外食に未来はあるか」と題した本連載の第8回は、1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業し、外食の産業化をけん引した横川竟氏のロングインタビューをお届けする。横川氏に過去の「反省」と今後への期待を聞いた。

■本連載の記事一覧
(1)切れた「モルヒネ」 外食に真の危機が訪れる
(2)外食が変われなかった10年 2つの「追い風」で危機感緩む
(3)ロイヤルHD菊地会長「多店舗化の呪縛から抜け出せ」
(4)淡路島に出現した「外食の町」 バルニバービの“非常識”立地戦略
(5)食品販売が売上高の6割に 「大阪王将」を導いた“逆算”
(6)外食の「連邦経営」掲げるクリエイト 個人店とチェーンの間に活路
(7)「スマホでチップ」で下がった離職率 働きがいこそ外食の強み
(8)すかいらーく創業の横川竟氏「外食の安売りは僕の反省でもある」(今回)

新型コロナウイルス禍の外食産業への影響をどう見ていますか。

すかいらーく創業者の横川竟氏(以下、横川氏):主な外食企業の既存店売上高の前年同期比の推移を見ると、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどファストフードは強かった。一方で、居酒屋、ファミリーレストランという「テーブルサービス」がメインの外食店は厳しかった。中でも(焼き肉など)専門店はいいけど総合的なメニューを提供する店がだめ。これは、小売業で百貨店が厳しくなったことと、僕は同じだと思っているんですよ。

 小売店は(様々な商品を幅広く取りそろえた)よろず屋から始まり、成長していった。外食はファミレスから産業化が始まり、様々な業態へと分化していった。僕は、ファミレスの役割がもう終わったんだと思っています。ファミレスは次にどこへ変化していくのか。実は、僕はそこに非常に興味があるんです。

横川竟[よこかわ・きわむ]氏
横川竟[よこかわ・きわむ]氏
すかいらーくを創業した横川4兄弟の三男。現在は高倉町珈琲会長として外食経営に携わる(写真:Tomoaki Miyata)

「食堂化がファミレスをだめにした」

ファミレスを生み出し、外食の産業化を引っ張ったご自身が「役割を終えた」とおっしゃるのですね。ユニクロやワークマンなど「カテゴリーキラー」の台頭と共に、百貨店の存在感が薄れた。外食もこうした歴史をなぞるということでしょうか。

横川氏:あくまで僕流の見方ですけどね。百貨店で言うと、そごう・西武がセブン&アイ・ホールディングスの手を離れようとしていますね。僕は、東京・渋谷にある西武をずっと観察していましたが、売り場も、売り物も、売り子も変わらなくて。皮肉っぽい言い方になりますが、コンビニの人には百貨店のビジネスはできないのかなと思いました。

 ファミレスがだめになったのは、ファストフードのマネをして、安売りを始めてしまったのが原因です。僕は「食堂化」と言っています。価格勝負になると、ファストフードには勝てません。

 テーブルレストランで成功した人が、ファストフードで成功した例はないんです。その逆もそう。ファストフードは小売業で、テーブルサービスはレストラン業という違いがあるのではないでしょうか。すかいらーくもファストフードは全て失敗し、牛丼の吉野家もテーブルサービスの会社を買収して、結局売ってしまいましたね。

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