タピオカの次は台湾茶──。スシローグローバルホールディングス(GHD)は20日、台湾の企業と連携し、台湾茶専門店「Sharetea(シェアティー)」を新宿マルイ(東京・新宿)の本館に開いた。

「ブラックティー」「ウーロンティー」「鉄観音ティー」などのストレートティーが主力メニュー
「ブラックティー」「ウーロンティー」「鉄観音ティー」などのストレートティーが主力メニュー

 シェアティーは台湾発のカフェで、アジアや欧州など世界で500店舗以上を展開している。

 事業の指揮を執るのはアパレル大手・ワールドで10代女子向けブランド「ピンクラテ」の事業トップを務めた経験を持つ小林哲氏。かつてワールドの専務だったスシローGHD社長の水留浩一氏がスカウトし、スシロー初のカフェ業態の責任者に就任した。顧客の年齢層が比較的若いカフェ業態では商品の味だけではなく、ファッション感度も求められることから小林氏に白羽の矢が立ったようだ。

 台湾茶といえば、2019年に日本市場を席巻した「タピ活ブーム」が記憶に新しい。台湾発のカフェチェーン、「ゴンチャ」や「春水堂」には、タピオカミルクティーを求め、大勢の女性客が列をなす光景が都内でも多く見られた。

 シェアティーはこれらのブランドとは一線を画す戦略を立てている。主力メニューは「ブラックティー」「ウーロンティー」「鉄観音ティー」などのストレートティー、つまり「茶」だ。競合他社がタピオカを使ったメニューを数多く並べる一方で、シェアティーのメニューにはタピオカミルクティーは1種類しかない。

タピオカブームの終息

 「需要が0になったわけではないが、タピオカブームは終息している。それに『タピオカ推し』では、客層を狭めてしまうことにもなる」。シェアティーのメニュー構成について小林氏はこう語る。

 確かにタピオカの輸入量は20年に入って激減している。財務省貿易統計によると、19年は4月に輸入量が1000トンを超えると、8月に2600トンとなり、11月まで2000トン以上で推移していた。18年の8~11月は234~329トンなので、需要が一時、10倍近くまで増えたことになる。一転して20年は6月まで月1000トンを超えていない。1月が最多の880トンで、夏を前にした6月でも528トンにとどまっている。

新宿マルイの本館に日本の1号店を開いた。全国展開に乗り出すという
新宿マルイの本館に日本の1号店を開いた。全国展開に乗り出すという

 シェアティーは、若年女性の人気を集めたタピオカ系のドリンクを前面に出せば、男性客が離れてしまうと判断しているようだ。タピオカ衰退の時勢を見定め、「脱タピオカ」志向を強めている。

 カフェ業界全体で見ても「ティーメニュー強化」の動きは散見される。スターバックスコーヒージャパンは、7月に六本木ヒルズの店舗をリニューアルし、ハーブティーや抹茶を使った限定メニューを展開している。春水堂は6月に渋谷マークシティに茶とアルコールを組み合わせた「ティーカクテル」を提供する新店をオープンするなど、「茶」を軸にした新規顧客獲得の動きは広がりつつある。

コロナ禍でカフェ業態は苦戦

 「シェアティーは全国500店舗を目指し、ティー版のスタバを目指す」と小林氏は意気込む。競合となる台湾茶のチェーン店ではゴンチャが約80店舗、春水堂がテークアウト専門店を合わせて30店舗ほど。市場は拡大の余地があると小林氏は見ているようだ。1号店はテークアウト専門だが、2号店は23区内でイートイン型の店舗を想定している。

 価格設定も看板商品の「定番台湾茶」が350円(Mサイズ、税抜き)から。競合の定番メニューは400~500円台だ。「コーヒーやタピオカ以外のメニューをカフェに求める消費者も増えつつあるし、男性客の需要もつかめるのではないか」(大手カフェチェーン関係者)と競合も警戒心を強める。

 ただ、コロナ禍でカフェそのものの需要は落ち込んでいる。ドトールコーヒーやサンマルクホールディングスでは緊急事態宣言が解除された6月以降も、既存店売上高が前年よりも3割以上下がったままだ。「在宅勤務の浸透で、特に都心部のオフィス街は壊滅的」(大手カフェチェーン関係者)との声も上がっており、シェアティーにとっても不安要素となる。

 とはいえ、「台湾茶ブームの芽が出た段階で一気に攻めに転じられるように備えたい」と小林氏はあくまで強気だ。コロナ下で「アフタータピオカ」のカフェ市場を巡る争いが始まる。

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