1970~90年代にファミリーレストランやファストフードが進めた多店舗化は外食文化を広げる力となった。しかし、少子高齢化と人口減少が進む今、単純な多店舗化には「陳腐化」というデメリットが目立ち始めている。そんな中で規模のメリットを生かすにはどうしたらいいのか。チェーン店のコストメリットと、個店の独創性の「いいとこ取り」を狙った経営に取り組むのが、「グループ連邦経営」を掲げるクリエイト・レストランツ・ホールディングスだ。三菱商事の社内ベンチャーとして生まれた同社の戦略を探る。

■連載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)切れた「モルヒネ」 外食に真の危機が訪れる
(2)外食が変われなかった10年 2つの「追い風」で危機感緩む
(3)ロイヤルHD菊地会長「多店舗化の呪縛から抜け出せ」
(4)淡路島に出現した「外食の町」 バルニバービの“非常識”立地戦略
(5)食品販売が売上高の6割に 「大阪王将」を導いた“逆算”
(6)「連邦経営」掲げるクリエイト 個人店とチェーンの間に活路(今回)
(7)人手不足は怖くない 働きがいこそ外食店の力
(8)すかいらーく創業の横川竟氏「外食の安売りは僕の反省でもある」
……ほか

ららぽーと甲子園にある「信州上高地あずさ珈琲」の店舗。物販エリアと飲食エリアの境界にあるドアが「映えスポット」になっているという
ららぽーと甲子園にある「信州上高地あずさ珈琲」の店舗。物販エリアと飲食エリアの境界にあるドアが「映えスポット」になっているという

 高校球児たちの聖地、阪神甲子園球場近くの「ららぽーと甲子園」(兵庫県西宮市)で2022年2月、長野県の山小屋をイメージしたカフェ「信州上高地あずさ珈琲」が開業した。

 店舗の入り口近くに広がるのは、長野県の特産品が並ぶ物販スペース。「雷鳥の里」や「りんご乙女」などの銘菓のほか、生そば、リンゴジュース、しょうゆなどがそろった。既存の店舗ではレジ前に10~20品ほど置くだけだったが、ここでは約300品と大幅に増やした。新幹線で結ばれる関東圏と異なり、関西圏では長野県の恵まれた食材が十分に知られていない。その珍しさが来店客を次々に呼び込んでいる。

 運営会社KRホールディングスに親会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスが打診したのが出店のきっかけだった。前に入居していたビュッフェレストランはコロナ禍で客足が遠のき、営業を続けるほど赤字が膨らむ事態に陥った。業態転換もうまくいかず、「打つ手がなくなった」(クリエイト・レストランツの熊田絵里子店舗開発部長)とき、白羽の矢が立った。

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 コロナ禍で大きな打撃を受けた外食産業。採算性の低さや人手不足は表層的な問題にすぎない。真の問題はコロナ禍前から変わっていなかった。
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