時短営業への「協力金」もなくなり、インバウンド(訪日外国人)やシニア消費の回復にも期待できない。「低い参入障壁」や「同時性の制約」といった構造問題への対策から目を背けてきた外食業界に明るい未来はあるのか。連載第3回は、論客として知られるロイヤルホールディングス(HD)の菊地唯夫会長に、外食業界の課題をどう見ているのかを聞いた。

■連載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)切れた「モルヒネ」 外食に真の危機が訪れる
(2)外食が変われなかった10年 2つの「追い風」で危機感緩む
(3)ロイヤルHD菊地会長「多店舗化の呪縛から抜け出せ」(今回)
(4)「人の流れは自らつくる」 “非常識”立地で攻めるバルニバービ
(5)「連邦経営」掲げるクリエイト、個人店とチェーンの間に活路
(6)食品販売が売上高の6割に イートアンドHD導いた「逆算」
(7)人手不足は怖くない 働きがいこそ外食店の力
(8)すかいらーく創業の横川竟氏「外食の安売りは僕の反省でもある」
……ほか

ロイヤルホールディングス会長 菊地 唯夫(きくち・ただお)氏
ロイヤルホールディングス会長 菊地 唯夫(きくち・ただお)氏
日本債券信用銀行やドイツ証券を経て2004年ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。10年に社長就任。16年会長兼CEO(最高経営責任者)、19年から現職。(写真:的野 弘路)

今、外食産業が抱える課題とは何でしょうか。

菊地唯夫・ロイヤルHD会長(以下、菊地氏):「外食企業の持続性をどう作っていくか」です。新型コロナウイルス禍の前から人口減少の問題などはありましたから、コロナがなくても同じ問題に直面していたでしょう。ただ、10年後に来るはずの変化が一気に来てしまった。

 担い手不足も大きな課題です。コロナ禍前は、高齢者や女性、外国人など、労働供給に恵まれていました。しかし、ポストコロナでは追加の労働供給があまり期待できません。

 このままでは人はいなくなる一方です。人数が少なくても顧客満足度を高めるサービスを提供できるような基盤をつくらなくてはなりません。若い世代が働きたくなる、共感できるような産業に変える必要がある。

もっと社会で評価される産業に

若い世代が働きたくなるようにするために何が必要ですか。

菊地氏:「エンゲージメント」ですね。エンゲージメントという言葉がはやるのは、それが足りていないからでしょう。昔は働く理由は「生活のため」「自己実現」でよかったかもしれないけど、それが通用しなくなっている。

 外食産業というのは本来、エンゲージメントを訴求しやすい産業だと思うんです。だからこそ、もっと働きやすい職場にしなければいけないし、もっと社会的にも評価される産業にしなければいけない。

若い世代を消費者として取り込むことも欠かせません。

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この記事はシリーズ「外食ウォーズ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。