「新型コロナウイルス対策の改正特別措置法に基づいて東京都が出した営業時間の短縮命令は違法」などと主張し、都に損害賠償を求める訴訟を起こした外食チェーンのグローバルダイニング。5月16日に東京地裁は都の命令を違法とする判断を下した。ただし、都知事の過失責任は否定し、同社の賠償請求104円は棄却した。

判決についてグローバルダイニングの長谷川耕造社長は「実質的な勝訴」と評価したものの、即日控訴し、納得できるまで主張を続ける意向を表明した。控訴の狙いは何なのか。長谷川社長に聞いた。

長谷川耕造氏 グローバルダイニング社長
長谷川耕造氏 グローバルダイニング社長
1950年、神奈川県生まれ。73年に長谷川実業(現:グローバルダイニング)を設立。76年以降、六本木ゼストを皮切りに、ラ・ボエム、タブローズ、権八などをはじめ、都内を中心に様々な業態の飲食店舗を展開。(写真=吉成大輔)

5月16日の判決で、東京地裁は営業時間の短縮命令が違法だと判断しました。「実質勝訴」とコメントしましたが、即日控訴しました。

長谷川耕造社長(以下、長谷川氏):よくここまで(東京地裁が判決文を)書いてくれたと思いました。ただ、都や都知事には過失がない(という判決だった)。都知事は証人喚問されていないですから、過失の有無を調べたとは僕らは思えなかった。控訴した最大の理由はそこですね。

外食産業にとって新型コロナウイルス禍は大きな危機となりました。

長谷川氏:あんなの危機じゃないでしょう。私は危機じゃないと思っているから営業を続けたんです。危機だと思って営業を続けたら罪ですよね。

 新型コロナウイルスによる死亡者数が公表されていますが、私からすれば定義がおかしい。交通事故で亡くなった人もPCR検査して陽性ならコロナによる死者として数えられてしまう。少なくとも2020年は「過少死亡」があったとされています。

 医療崩壊が叫ばれているのも、感染症法上の位置付けを2類相当にしているからでしょう。コロナの累計死者数は3万人強ですが、1990年代後半にはインフルエンザによる超過死亡数が一冬で3万人超になったという推計もあります。コロナのどこが危機なんですか。

感染拡大につながりかねないという理由で営業の自粛が要請されていました。営業を続けることに迷いはなかったのですか。

長谷川氏:米国では法に従って屋外営業などに切り替えました。憲法も違うし、法律も違うので強制力があります。補償も最初からしっかりしていた。

 でも日本の場合は強制できない。行政指導で閉めろと言われるだけ。それに当時は補償も一律1日6万円で、とてもじゃないけれども私たちの店舗を維持できる額ではなかった。

 もちろん、上場しているので自分だけで決断するわけにはいきません。社員の圧倒的多数の同意がなければ営業の継続はできませんし、取締役会でも認めてもらわなくてはならない。それに金融機関や監査法人などもいます。それぞれの人たちと、(コロナの感染が拡大した)初年度からずっと「おかしいよね」と話し合ってきました。ただ、かなり同業者から「調和を乱すな」と責められたりもしました。

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