政府は7月13日、酒の提供を続ける飲食店との取引停止を酒類販売業者に呼びかけた依頼を撤回した。取引停止の要請は政府が8日、関係団体に依頼文書を出していたが、全国小売酒販組合中央会が9日に「得意先からの注文を拒否することは、長年にわたり培ってきたお客さまとの信頼関係を毀損(きそん)する引き金となり得る」とする抗議声明を出すなど、酒販業界は猛反発していた。一連の騒動を業界はどのように受け止めたのか。全国小売酒販組合中央会の吉田精孝会長に聞いた。

1951年生まれ。日本大学商学部卒業後、家業の伊勢屋入社。3代目社長となり、現在は同社会長。2002年4月東京小売酒販組合・東京味噌醤油商業協同組合理事、20年5月東京酒販協同組合連合会理事長。20年6月から現職。
政府による酒類提供店との取引停止の要請から撤回までの一連の騒動について、どのように感じていましたか。
正直言って「驚いた」という印象を持ったのと同時に「無理のある依頼だ」と感じました。商売をしている人間に対して、「商品を売るな、商売をするな」という要請はこれまでになかったのではないでしょうか。政府は実体経済をどこまで理解してくれているのか、とも思いました。
そもそもお客さんから「買いたい」と言われているのに、酒販店の側から「売らない」などと言ってしまえば、取引関係は消えてしまいます。そして、一度消えてしまった関係はコロナ禍が収束したところで絶対に戻ってきません。そうした部分の損失を補償することまで考えてくれるのか、取引先が事業を継続している間は国が損失を補償してくれるのか、といったことが頭に浮かびました。
すでに苦境の飲食店、追い打ちはかけられない
取引停止の要請を知った組合員からはどんな声が上がってきたのでしょうか。
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