東京都荒川区の南千住駅前の商業ビルの一角で、海鮮居酒屋と焼肉店が並んで入居している。ジャンルの異なる飲食店が隣接すること自体は珍しいことではない。普通の店舗と異なるのは、この2つの業態が1つの店舗で運営されているという点だ。

 この「1店舗2業態」を推し進めているのが「はなの舞」や「さかなや道場」などの居酒屋業態を中心に全国で約600店舗を展開するチムニーだ。居酒屋を一部改装し、焼き肉業態の「牛星」や焼き鳥業態の「やきとり道場」を同じ店内で併設する「ハイブリッド店舗」の設置を加盟店(FC)で実施している。7月13日時点で南千住駅や六町駅(東京・足立)など首都圏を中心とした6店舗がこのハイブリッドとなっている。

チムニーは幅広い客層にアプローチするために居酒屋と焼き肉などを併設する「1店舗2業態戦略」を推し進めている
チムニーは幅広い客層にアプローチするために居酒屋と焼き肉などを併設する「1店舗2業態戦略」を推し進めている

 居酒屋を取り巻く環境はコロナ禍が始まって1年以上、厳しいままだ。日本フードサービス協会の調査によれば、2021年5月の居酒屋業態の売上高は20年5月比で4.1%減。コロナ禍で外食が軒並み打撃を受けていた昨年5月をさらに下回る結果となった。居酒屋は売り上げの5割前後をアルコール飲料が占めているとされ、酒類提供の制限が大きな打撃を与えているとみられる。

 居酒屋業態が主力のチムニーも例外ではなく、2020年度は直営店の既存店売上高が通期で前年比55.4%減。21年4月以降も、営業時間の短縮や酒類提供制限の影響か、コロナ禍がすでに始まっていた昨年の同じ時期をさらに下回る水準で推移しているなど、苦戦を強いられている。

 ハイブリッド店舗への改装で居酒屋の「パートナー」として選ばれたのは焼き肉や焼き鳥などの専門店業態だ。特に、19年12月にM&A(合併・買収)によって子会社化したシーズライフ(東京・墨田)の「牛星」がハイブリッド店舗で併設されるブランドとして店舗数を増やしつつある。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1999文字 / 全文2762文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「外食ウオーズ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。