ステーキチェーン「ペッパーランチ」の新型店舗が、東京駅八重洲口の八重洲地下街にオープンした。ペッパーランチは「いきなり!ステーキ」などを運営するペッパーフードサービス(PFS)の主力事業の1つだったが、同社が2020年夏に投資ファンドのJ-STAR(東京・千代田)に売却。その後はホットパレット(東京・江東)が運営してきた。それから2年。かつての“兄弟”事業だったペッパーランチといきなり!ステーキは明暗がはっきりと分かれている。

6月にオープンしたペッパーランチの八重洲地下街店。運営会社のホットパレットは従来型の店舗とは異なる新しい仕掛けを新型店舗に盛り込む
6月にオープンしたペッパーランチの八重洲地下街店。運営会社のホットパレットは従来型の店舗とは異なる新しい仕掛けを新型店舗に盛り込む

 「これまではフードコートへの出店が主体だったが、今後は駅前やロードサイドなど独立型の店舗を増やしていく」――。

 6月20日、ペッパーランチ八重洲地下街店で開かれた記者会見で、ペッパーランチを運営するホットパレット(東京・江東)の松本純男代表取締役はこう語った。2020年夏、いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービス(PFS)は、屋台骨を支えていたペッパーランチ事業を投資ファンドのJ-STARに売却。現在は、ホットパレットが事業を運営している。

 松本氏は、すかいらーくグループの事業会社トップやバーガーキングを運営するビーケージャパンホールディングス(東京・千代田)のCOO(最高執行責任者)などを歴任した経験を持つ外食産業のエキスパート。大胆なてこ入れでペッパーランチに新たな方向性を打ち出す考えだ。

ペッパーランチを運営するホットパレットの松本純男代表取締役
ペッパーランチを運営するホットパレットの松本純男代表取締役

明暗分かれたかつての“兄弟”事業

 かつて“兄弟”事業だったいきなり!ステーキとペッパーランチは、この2年で明暗が分かれている。

 いきなり!ステーキはピーク時の19年末に国内約500店舗まで店数を増やした。しかし、22年5月時点では215店舗と飛ぶ鳥を落とす勢いだったころの面影はない。既存店売上高は18年4月以降、多くの月で前年同月比を下回った。22年1月以降は1月、4月、5月のみ前年越えを果たしたが、22年1~3月の売上高は前年同期比28.6%減の35億3700万円。営業赤字は3億9700万円で、厳しい状況が続いている。

 一方、ペッパーランチは、20年12月期に80億3000万円(175店舗)だった国内の全店売上高(直営店と加盟店の合計)を、21年12月期には23%増やして98億7000万円(183店舗)とした。店舗改革のたまものだ。メニュー数はPFS時代から4割削減。食材の数も半減させて「ロスを徹底的に抑えるなどの効率化を図り、粗利率が4ポイントほど改善した」(松本氏)という。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2384文字 / 全文3418文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「外食ウオーズ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

外食を救うのは誰か』を刊行!

 コロナ禍で大きな打撃を受けた外食産業。採算性の低さや人手不足は表層的な問題にすぎない。真の問題はコロナ禍前から変わっていなかった。
 日経ビジネス記者がキーパーソンを表から裏から徹底的に取材し、外食産業の構造と課題を解き明かす1冊を刊行しました。約400万人が従事する約25兆円の産業を救うのは誰か──。