「モバイルオーダー」や「マックデリバリー」などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させ、新型コロナウイルス禍で不況にあえぐ外食産業で数少ない勝ち組となった日本マクドナルドホールディングス(HD)。デジタル技術の導入に合わせ、店舗運営の効率化を図る“両輪の改革”を推し進めた。その主導者が4月に急逝した日本マクドナルドHD前代表取締役副社長兼COO(最高執行責任者)の下平篤雄氏だ。下平氏が思い描いていた未来型店舗体験とはどのような姿をしていたのだろうか。「目指したのはデジタルとホスピタリティーを掛け合わせたサービス革命だった」と下平氏は語っていた。

2019年ごろから推進してきた店舗改革「未来型店舗体験」により、マクドナルドの店舗運営形態はコロナ下に大きく変容しました。そもそも、こうした店舗改革の構想はいつから始まったのでしょうか。
下平篤雄氏(以下、下平氏):未来型店舗体験、英語ではExperience of The Future(EOTF)と言いますが、構想の原型は16年に米国で開かれたマクドナルドの国際的な展示会で私が見学したものです。
注文はPOS(販売時点情報管理)レジを介した仕組みではなく、キオスク端末やモバイルオーダーを使って商品をカウンターで受け取る。またはテーブルまで商品をお届けするといったサービスの形を見て、当時は本当に「未来的だ」と感銘を受けたものです。
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