長引く新型コロナウイルス禍や相次ぐ値上げによって、景況感の上向く兆しが見えない外食業界。飲食店の情報掲載やオンライン予約・送客サービスを収入源としてきた飲食店情報サイト大手のぐるなびも苦戦を強いられている。2021年からはモバイルオーダーや食材仕入れ事業など、飲食店の経営サポート事業に注力し始めているものの、本業の不振から21年3月期、22年3月期は2年連続で赤字に終わった。苦境のぐるなびはいかにして反転攻勢を図るのか。杉原章郎社長に聞いた。

杉原章郎(すぎはら・あきお)氏
杉原章郎(すぎはら・あきお)氏
1969年、広島県出身。96年慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。インターネットサービス会社の起業を経て、97年にエム・ディー・エム(現楽天グループ)の共同創業者として参画。2006年楽天取締役常務執行役員、18年楽天常務執行役員オペレーションディビジョンCHO(チーフヘルスオフィサー)などを経て、19年からぐるなび代表取締役社長。

2019年6月に楽天の常務執行役員からぐるなびの社長に就任して丸3年がたちました。

杉原章郎氏(以下、杉原氏):コロナ禍があったとはいえ、さすがに3年もたつと「(業績が低迷しているのは)俺のせいじゃない」というのは通用しなくなりますよね。「それを何とかするのがお前の仕事だろ」って(苦笑)。でも最近、やっと精いっぱいの営業活動ができる社会的環境になってきましたね。

ぐるなびは業績面では依然として苦しい状況にあります。中でも、資本提携している楽天グループから21年に承継したばかりのデリバリー・テークアウト事業を22年7月に終了することを発表するなど、新規事業の育成にも苦戦しているように見えます。デリバリーについては参入当初は「競合がいても市場がそれ以上の伸びを示している」という勝算があったと思うのですが。

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