ぐるなびは25日、中古厨房機器販売などを手掛けているテンポスホールディングス(HD)と業務提携契約を締結した。テンポスHDが展開する中古厨房機器販売店・テンポスバスターズを訪れる飲食店経営者らに対し、ぐるなびが扱うモバイルオーダーやオンライン予約・送客サービスなどの経営支援サービスの販売を行う。長引く新型コロナウイルス禍や相次ぐ値上げなどのコスト増によって外食業界の景況感は上向く兆しが見えない中、飲食店情報サイト大手のぐるなびは苦境に立たされている。対して業績は好調なテンポスHD。両社の提携の裏にある思惑とは。

「テンポスバスターズの店舗には開業前のお客さんが来店している。ここでうまくコンサル的に設備・機器販売から経営支援まで総合受注できれば両社の売り上げを増やせる」。ぐるなびの杉原章郎社長はテンポスHDとの業務提携の意義についてこう語った。
業務提携の要旨はこうだ。
ぐるなびの全営業人員の2割に当たる40人の社員は5月からテンポスHDに出向している。テンポスバスターズの店舗に配属された出向社員は店舗での接客と併せて、モバイルオーダーシステムやオンライン予約・送客、サイトへの店舗情報の掲載など同社が取り扱っているサービスへの加入も提案する。また、ぐるなび子会社の社員やアルバイトスタッフがぐるなびの有料サービスに加盟していたり、テンポスバスターズの会員になっていたりする飲食店を巡回した際に、テンポスバスターズが手掛けている厨房機器のメンテナンス事業のあっせんを行うなど、サービス提供の効率性を高めることを計画しているという。このほかにも中小飲食店向けのメニュー開発などでも連携する。
互いの弱点を補う
ぐるなびのこれまでの飲食店への営業活動は「開業後」が主だった。ただしこれでは他の飲食店情報サイトや飲食店経営支援サービスなどとの競合がし烈となる。一方でテンポスバスターズに社員を常駐させれば、店を訪れる開業前の顧客にアプローチすることができるため、競合よりも先んじて接触できるというメリットがある。

テンポスHD側にもメリットはある。
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