回転ずし大手のくら寿司は3月31日、グローバル旗艦店となるスカイツリー押上駅前店をオープンした。店舗面積は834平方メートルと同社最大で、同社では異例の2フロア店舗となる。店内には大型液晶を使った射的ゲームや景品が当たるくじ引きなど新開発のアトラクションが設置され、さながらゲームセンターの様相だ。エンターテインメント特化型の飲食店を開発したくら寿司の狙いはどこにあるのか。

くら寿司が3月末に開業したスカイツリー押上駅前店。同社は「世界最大の回転ずし店」とアピールする
くら寿司が3月末に開業したスカイツリー押上駅前店。同社は「世界最大の回転ずし店」とアピールする

 回転ずし大手のくら寿司が従来から推進してきた店舗のアミューズメントパーク化を発展させ、アトラクションを売りにした旗艦店を開業した。

 くら寿司は3月31日、押上駅前に「スカイツリー押上駅前店」(東京・墨田)をオープン。「店内飲食」と「エンターテインメント」を掛け合わせた「店内エンターテインメントアトラクション」をキャッチフレーズに、ファミリー層やアフターコロナのインバウンド(訪日外国人観光客)の集客を狙う。同社の田中信副社長はオープン前日の会見で、「外食チェーン最大規模、最高峰のエンタメ施設ができた。当社にとって、エンターテインメント性は不可欠なものだ」と意気込みを語った。

 店舗面積は834平方メートル、座席数は277席。くら寿司としては最大だ。店舗面積については「世界最大」と同社はアピールする。目玉は1階と2階に設けたアトラクションだ。くら寿司では「ビッくらポン!」と呼ばれるゲームが子連れの客に人気。5皿につき1回くじが引け、当たると景品がもらえる。スカイツリー押上駅前店にはこの設備を巨大化した「ビッくらポン!DX(デラックス)」を設置。ほかにも射的ゲーム「ビッくらギョ!」を導入した。

くら寿司では子供に人気のゲーム「ビッくらポン!」を巨大化した「ビッくらポン!DX(デラックス)」を設置した
くら寿司では子供に人気のゲーム「ビッくらポン!」を巨大化した「ビッくらポン!DX(デラックス)」を設置した

 スカイツリー押上駅前店は「浅草ROX店」(東京・台東)、「道頓堀店」(大阪市)、「原宿店」(東京・渋谷)に続く国内4店舗目の「グローバル旗艦店」に位置付けられている。これら旗艦店は回転寿司の魅力を幅広い層に広めるためのコンセプトがある。例えば、グローバル旗艦店の1号店である浅草ROX店は20年1月に開業。観光と食事を掛け合わせた「Sight Eating(サイトイーティング)」をうたい、日本文化の発信拠点とした。江戸時代風に内装した店内には縁日スペースを設置。「射的」や「輪投げ」などの遊びが体験できる。

 21年4月開業の道頓堀店は、浅草ROX店にならって関西におけるジャパンカルチャー発信の店舗とした。21年12月オープンの原宿店は若者に訴求する仕掛けが多く、「Z世代向け店舗」としてスイーツの屋台や自撮り用スタンドなどを設けている。そして様々なアトラクションを取りそろえたスカイツリー押上駅前店のコンセプトは「店(てん)タメ」。来店しなければ体験できないレジャー性の高いコンテンツで子供たちを魅了する。

 田中副社長は「子供たちに来店時の思い出をつくってもらい、将来的にリピート客として戻ってきてもらうことが狙いだ」と語る。

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