「本体価格(税込み価格)」で見せ方に工夫

 こうした中で、客離れを防ぐための動きも進んでいる。

 ゼンショーホールディングスは傘下のファミレス、ココスなどで現在「本体価格+税」としている表示を今後は順次「本体価格(税込み価格)」に変更する。本体価格の表示をあえて残す上に、表示は「本体価格を大きめにしている」(ゼンショーHD)という。理由について同社は「価格が変わっていないことを示し、消費者に安心してもらうためだ」としているが、割高感を与えたくないという思惑も透ける。

 実際、3月中旬に訪れた東京・秋葉原のココスの店舗では新旧の価格表示が確認できた。「包み焼きハンバーグ」は本体価格990円だが、税込み価格では1089円となる。古いグランドメニューは「本体価格+税」の表記だったが、キャンペーン用の真新しいメニューは本体価格の真横に一回り小さな文字で税込み価格が記されていた。会計時の値段は変わらないはずだが、表示が「1000円」のラインを超えるか否かで印象は大きく違った。

ココスの看板メニュー「包み焼きハンバーグ」。グランドメニューは「本体価格+税」(上)、キャンペーン用のメニューは「本体価格(税込み価格)」となっていた
ココスの看板メニュー「包み焼きハンバーグ」。グランドメニューは「本体価格+税」(上)、キャンペーン用のメニューは「本体価格(税込み価格)」となっていた

 同様の表示手法は吉野家でも見られた。3月中旬の午前7時、都内のターミナル駅構内に立地している店舗には朝メニューの「朝牛セット(牛丼小盛)」のポスターが掲げられており、赤文字で大きく「398円」と書かれていた。目を凝らすと、すぐ下には一回り小さなフォントで「(税込437円)」との表示があった。朝食で400円以下という第一印象はやはり重要だと感じた。

 外食大手の関係者は「総額表示の手法でコロナ禍による消費低迷に追い打ちがかからないといいが」と懸念を示す。総額表示の「見せ方」は4月以降の外食業界の動向を左右しそうだ。

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