全2633文字

 ファミリーレストラン大手のすかいらーくホールディングス(HD)は2020年3月1日に24時間営業を全面的に廃止した。同社は1972年に24時間営業を開始。ファミレスの深夜営業の先駆者だったが、2010年代以降は営業時間の見直しを進めていた。すかいらーくは売り上げの減少につながる24時間営業廃止になぜ踏み切ったのか。人財企画・運用グループの匂坂仁ディレクターに聞いた。

長きにわたって続けてきた24時間営業を全廃された背景を教えてください。

匂坂仁ディレクター(以下、匂坂氏):かねて24時間店舗の時短営業を進めてきました。お客様のライフスタイルは近年、大きく変化し続けています。常々考えていたのは「本当に深夜に開けておく必要はあるのか」ということです。1つ1つの店舗には、売り上げ、立地、客層など複合的な要素がからみ合っています。2010年代以降は個々の店舗ごとに、営業時間を考えることを続けていました。

すかいらーくホールディングスの匂坂仁・人財企画・運用グループディレクター

 すでに日本は「少子高齢社会」になっています。そうであるならば、労働人口も市場も今後はシュリンクするのが必然でしょう。労使で考えた結果が24時間営業の廃止という決定です。

ファミリーレストラン業界で感じられる社会の変化とは何ですか。

匂坂氏:深夜の客数は20年から30年ほど前の勢いは完全になくなりました。「24時間営業」や「午前5時閉店」の店舗で働いてきた経験で言うと、昔は「飲み屋帰り」という需要があったのです。「風営法」の影響もあって深夜の0時を過ぎると、パブなどの従業員とお客が一緒になって来店するという光景はよく見られたものでした。でも今はそれがありません。

 当社はロードサイド店舗も多いですが、今は若い人が乗ってきたと思われるクルマが駐車場に見られなくなりましたね。個人的な見解ですが、若者のクルマ離れがかなり進んでいるのではないでしょうか。当社の新入社員もクルマの免許を持っていない人が多いですし、今後も免許を取る気はないという人も少なくありません。ライフスタイルとしてもクルマを持ったり、深夜に出歩いたりといったことをしない風潮が強くなっている気がします。