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 日本マクドナルドホールディングス(HD)は2月13日、2019年12月期の決算を発表した。連結売上高は18年12月期比で3.5%増の2817億6300万円、営業利益は同11.9%増の280億1800万円だった。直営店とフランチャイズ(FC)店の売り上げを合算した全店売上高は創業以来最高の5490億円。既存店売上高は15年12月から20年1月まで50カ月連続で前年同月を上回っている。

 19年10月の消費増税による消費者の購買行動の変化に苦しむ外食産業において、一人勝ちともいえる結果を残した。「2019年は記念すべき年となった。だが、まだ成長し続けることは可能。日本は成長のポテンシャルが大きい」。決算発表会見でこう語ったサラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)の表情は自信に満ちていた。

日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバ社長兼CEO(左)と日本マクドナルドの日色保社長兼CEO

 消費増税に際し、マクドナルドは店内飲食(税率10%)と持ち帰り(同8%)の税込み価格を同一とした。併せて、ハンバーガーやチキンクリスプなど「100円マック」の主要商品の値段を10円引き上げるなど、メニューの3割を値上げした一方で、バリューセットなどの高価格帯やドリンク類は値段を据え置いた。

 この価格戦略が功を奏した。日本マクドナルドの日色保社長兼CEOは決算発表の会見で「増税時には顧客への分かりやすさを第一に考えた対応を取った。増税の影響はそれほど大きくはない」と語った。既存店売上高が堅調に推移していることに加え、値上げによって減ることが懸念された客数についても、台風被害などに見舞われた19年10月こそ2.4%減だったものの、11月以降は前年越えが続いている。

 増税によって消費者の低価格志向がより強まっていることも、マクドナルドをはじめとするファストフード業態への追い風となっているようだ。

 日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によると、ファストフード業態の19年11月、同12月の客数は前年同月比でそれぞれ3%前後伸びている。その一方、ファミリーレストランや居酒屋はいずれも前年同月割れとなった。

 ファミリーレストランの雄、すかいらーくホールディングスの19年12月期連結決算は、売上高こそ新規出店の効果もあって前の期に比べ2.5%増の3754億円としたものの、営業利益が同10%減の206億円にとどまった。特に客足の鈍化が著しく、既存店の客数は19年4月以降10カ月連続で前年同月割れが続いている。すかいらーくホールディングスの谷真会長兼社長は「増税後は特に客単価の低い若年層の離脱が顕著。その層はファストフードや牛丼3社に流れているようだ」と話す。

 

 マクドナルドのさらなる成長のカギは「未来型店舗体験」の浸透だろう。これまでセルフサービスが基本だった店舗に接客専門のスタッフを配置したり、商品を客席まで届ける「テーブルデリバリー」を実施したりする新たな施策をすでに全国約1700店舗(20年1月末)で導入した。またスマホのアプリを使って注文・決済ができる「モバイルオーダー」も約2700店で実施している。人手不足の中での接客の強化は簡単ではないが、「現状、必要な従業員は採用できている」(日色氏)と不安はない。

 ただ、好調が長くなるほど、そのハードルを越え続けることは難しくなってくる。「未来型店舗体験」という次の成長へのギアチェンジをやり切ることができるのか。20年はマクドナルドの真価が問われる1年となりそうだ。

連載「外食ウオーズ」では、日々熾烈な競争が繰り広げられている外食業界の最前線を神田啓晴記者が取材します。連載をフォローして、最新記事をお読みください。