全1887文字

 日本特有の酒税体系も、メーカーをストロング系チューハイへと駆り立てる。松本氏もこう指摘する。「公衆衛生的アプローチを考えれば、本来、酒税は含有されるアルコール度数の上昇に伴って傾斜すべきです。それなのに、『税収ありき』の国の二転三転する方針にメーカーが追い詰められて、確実におかしな事態を引き起こしています」

 日本の酒税は、「その他の発泡性酒類」に該当する「第3のビール」や缶チューハイは、350ml当たり28円。同77円のビールや同47円の発泡酒に比べて格段に安い。酒税法の改正によって、これらの税率は20年10月から段階的に変更され、26年には税額が同55円に一本化されるが、それまでは、アルコール度数が高いストロング系チューハイが、ビールより低税率で飲める状況が続く。

 長引く低成長、生産年齢人口の減少、日本特有の酒税、この三重苦が生んだ「あだ花」の側面を持つ商品が、いまやRTD市場の中核に位置する。「家計にやさしい商品」とみなす肯定派と倫理面で問題があるとする否定派とが、どこでバランスをとるのか、市場動向を注視する必要がある。

 今世界では、WHO(世界保健機関)を中心にアルコール規制強化の流れが加速しており、日本も対応を迫られている。エシカル消費の流れが本格化する中で、アルコール市場が健全に発展する方策を真剣に議論することが求められている。

連載「令和時代の消費マーケティング・新潮流」では、吉岡陽記者がますます多様になる個人消費の実態や企業のマーケティング戦略を深掘りします。連載をフォローして、最新記事をお読みください。