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 米アマゾン・ドット・コムの影響が広がる米小売業の中にあって、米ウォルマートの業績が好調だ。小売りの世界に攻め込むアマゾンの向こうを張り、デジタル化に多額の投資をしてきたことが功を奏している。

 日経ビジネス1月20日号ではウォルマートの事例から小売業の未来を考える特集記事を掲載する。それに先立って、先日取材で訪れた米国におけるウォルマートの現状をリポートしたい。今回は同社の主要業態であるスーパーセンターで見た「未来の店舗」を目指す動きを取り上げる。

 家具、工具から食品まで。様々な商品が並ぶウォルマートの主要業態である「スーパーセンター」。ここでは、「未来の店舗」を予感させる新しい機器が複数あった。

(写真:Maki Suzuki)

 その1つが、オレンジ色の巨大な「ピックアップタワー」。顧客がインターネットで買った品物を、店舗で受け取るための巨大な保管機械だ。生鮮品を取り置くオンライン・グローサリー・ピックアップ(OGP)とは異なり、一般商品が対象になる。記者も米国でアプリをダウンロードして、実際に試してみた。

 アプリではまず、取りに行く店を選んで設定してから、購入する商品を探す。米国南部アーカンソー州のウォルマート本社の目の前にあるスーパーセンターを指定し、商品を検索。商品ページで、選んだ店舗でのピックアップが可能かどうか調べられる。

 商品を選んで会計が済むと、メールでもアプリでも準備の状況が確認できる。記者が購入したヘアアイロンは店舗に在庫があり、購入から1時間40分後に「用意できた」とのメールが届いた。

店の出口近くにピックアップタワーはそびえていた
スマートフォンでバーコードを出し、読み取る(一部画像を加工しています)
タワーの中に購入品が入っていれば、このように出てくるはずだった

 記者が買ったアイロンは小さいためか、奥の保管庫から従業員が持ってきてくれた。サイズや繁閑などによって運用は柔軟にしているようだ。

 ウォルマートは2018年に700店舗でピックアップタワーを設置した。訪れた店舗でもピックアップタワーの場所を示す看板が目立っており、すでに来店客にかなり浸透しているようだ。