コンビニ大手ローソンは2022年9月、連結子会社である高級スーパー・成城石井(横浜市)の東京証券取引所への株式上場を申請した。しかし、12月16日に取り下げを発表。欧米各国で利上げが相次ぐ中、世界的な景気後退への懸念を受けての判断とみられる。ただ、市場からは「消極的な理由だけではなさそうだ」との声が聞かれる。様々な事業会社から成城石井との協業を求める要請があったことから、親会社のローソンは子会社の「価値」を再考するヒントを得たのではないかとの見方もあるようだ。
「ローソン、成城石井上場へ」。各紙が4月に報じた大型IPO(新規株式公開)の風向きが変わった。
上場時の時価総額は2000億円を上回る可能性もあると目され、市場では期待が集まっていた。成城石井は9月に東京証券取引所へ上場申請したが、12月16日に取り下げを発表。親会社のローソンは「最近の経済環境や市場動向を踏まえて総合的に判断した」と説明している。
この間、世界ではインフレが続き、各国中央銀行が金利操作を続けた。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が今後も引き締めを続けるとの観測が広まり、取り下げ発表の前日には米国の小売売上高(11月)も市場予想を下回っていた。投資家のリスク回避姿勢が強まるとみられることから「上場は今のタイミングではない」との判断を余儀なくされた。

ただ「消極的な理由だけでもなさそうだ」との声が市場から上がっている。ローソンの竹増貞信社長は日本経済新聞(12月21日付)のインタビューで、成城石井の上場申請までに事業会社から「様々なお声がけがあった」と明かしている。
クレディ・スイス証券の風早隆弘シニアアナリストは「『うちと一緒にやりませんか』といった外部の反響を聞いて、親会社が子会社の価値を再認識することはある。様々な選択肢を改めて検討するきっかけになった可能性はある」と想像する。
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