コンビニ各社は11月末、公正取引委員会の要請に応じ、FC加盟店との関係を改善する対策を公表した。大手3社は現行ルールの徹底で店舗の収益を引き上げる策を示したが、利益分配の見直しに踏み込まなかった。オーナーとの関係をどうすべきなのかという問題は収まったようにみえるが、火種は残っている。

本部が優位に立ちやすい既存モデルは維持する
本部が優位に立ちやすい既存モデルは維持する

 公取の改善要請は2019年10月から20年8月にかけてコンビニ本部8社とFC加盟店約1万2000店に対して実施した調査を基にしている。9割以上の店舗が人手不足を感じ、77%は深夜帯が赤字。「本部が時短営業の交渉に応じていない」とする回答も9%あった。

 要請に基づき、コンビニ8社は加盟店との取引状況を自主点検した結果と改善計画を提出した。このうちセブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの大手3社が出した回答について、東レ経営研究所の永井知美チーフアナリストは「時短や値引き販売で妥協点を探った印象だ」と話す。

 大まかに言うと引くところは引くが、譲れないものは譲らないというのが3社の回答だ。各社の収益となる本部を通した仕入れの強制や、消費期限が近付いた食品などを店舗の判断で値引きする「見切り販売」といった店舗のオペレーションの多くでFC(フランチャイズチェーン)に譲歩している。

 仕入れ強制については「店の仕入れシステムを社員が利用できないようにした」(セブン)、「強制を禁じるルールの周知を社員に徹底する」(ローソン)とした。見切り販売についてもファミリーマートが21年度までに「手続きを簡素化する」と表明。廃棄になれば負担となるFCの経営に配慮している。

 24時間営業の強制についても3社は時短を認めていると強調。一部オーナーとトラブルになったセブンは「深夜休業を検討するオーナーときちんと協議を重ねて対応する」とした。ファミリーマートは20年6月からオーナーが時短営業を選べるようにしている。

ミニストップの決断

 FC制の根幹である利益配分の見直しについては、公取への回答に先立ち、業界4位のミニストップが9月、加盟店に寄り添う決断をした。店の経営状態にかかわらず、本部が一定の収益を確保できるロイヤルティー収入を21年9月に廃止し、店舗の事業利益を本部と分け合う方法にする。

 この動きにより大手3社の対応が注目を集めたが、ロイヤルティーを維持するとしている。業績の著しい下押し要因になりかねないためだ。ミニストップの動きも、1日当たり販売額が少なく、「加盟店離れを抑えるためのインセンティブ」(永井氏)とみられている。

 19年末の全国の店舗数が初めて前年を割り込むなどコンビニの経営環境は厳しく、新型コロナウイルスでさらに危機感が強まった。「利益配分まで見直すべきだ」(首都圏のコンビニオーナー)という意見を聴く余裕はなく、「見切り販売の推進などで利益が上がれば本部にも加盟店にもよい」(大手コンビニ幹部)という声ばかりが聞こえてくる。オーナーと本部の関係が問われた昨年来の問題に、一定の譲歩によって終止符を打ちたいという本音が透ける。

 問題の発端である人手不足はコロナ発生後、雇用環境の悪化で緩和している。そのため本部に改善を求めるFCオーナーの声と世論が低調になっていた。だが限られた売上高の中で、本部とオーナーが共存共栄するという本来のFCビジネスをどう実現するかという問題は抜本的な解決に至っていない。再び燃え出す火種は残った。

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