原材料の高騰や急速な円安トレンドなど、様々な外的要因が重なり、生活用品の値上げラッシュが続いている。小売りや外食などの業界に逆風が吹く一方、あえて価格を据え置く「やせ我慢」戦術を選ぶ企業が目立ってきた。物価上昇に賃上げが追い付かず節約志向が強まる中、価格維持は消費者の購買意欲を喚起する一手となるだろうか。

「世の中の値上げに負けてたまるか!!」「魅せますドンキの底力!」―ー。
「驚安の殿堂」を掲げるドン・キホーテが、「値上げの秋」に徹底抗戦を表明した。10月17日から1カ月限定で小麦粉やトイレットペーパーなど生活必需品201品目の価格を据え置くキャンペーンを始めたのだ。なぜ、このタイミングだったのか。
「市場に値上げ前の在庫がなくなり、真に価格高騰の局面を迎える時期が今だった」。ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの担当者はそう説明する。
原材料や輸送費の高騰、急速な円安トレンドなどが重なって10月は、2022年最大の値上げラッシュとなった。帝国データバンクによると家計負担は食品だけで年間7万円増える。「驚安」をうたうドンキは、家電製品や日用品、電気料金などあらゆる物価が上がる今こそ、踏ん張りどころと判断した。

ドンキは都市型店舗で約5万~6万点、大型店の「MEGAドン・キホーテ」では約10万点の品ぞろえを誇る。多種多様な商品をミックスして粗利率を調整することで、価格維持の原資を捻出。さらに1カ月とキャンペーン期間を区切って最大限の販促予算を確保した。
生活する上で本当に必要とされ、「値上げされては困る」と思われる商品をプライベートブランド(PB)、ナショナルブランド(NB)を問わずえりすぐった。
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