ファーストリテイリング傘下で低価格帯のカジュアル衣料品を扱うジーユー(GU)は、10月7日に米国で初めてのポップアップストア(期間限定店舗)をオープンする。高級ブランド店が立ち並ぶ米ニューヨークのソーホー地区で2023年の夏まで営業する予定だ。店舗では、タートルネックセーター、ワイドパンツ、ブルゾンなど一押しの秋冬服を販売。売れ行きに合わせて商品構成を見直すという。22年5月末時点で、日本で416店舗、香港や台湾を含むグレーターチャイナ(中華圏)で35店舗を展開するGU。アジア圏以外の出店は前例がなかった。新たな局面を迎えた海外戦略について、柚木治社長にその狙いを聞いた。

柚木治(ゆのき・おさむ)氏
柚木治(ゆのき・おさむ)氏
1965年兵庫県生まれ。88年一橋大学経済学部を卒業し、伊藤忠商事入社。石油化学プラント事業部で米ヒューストンに2年半駐在。99年GEキャピタルを経て、同年にファーストリテイリング入社。2008年にGOVリテイリング(現GU)副社長に。10年から現職でGUの成長をけん引する。(写真=陶山 勉)

米国にポップアップ店を出す狙いを教えてください。

柚木治社長(以下、柚木氏):GUのグローバル化の加速・強化です。その意味は2つあり、1つは有望な米国市場へ進出すること。世界最大の市場ですし、ファーストリテイリンググループとしてもユニクロが米国市場に力を入れていて、手応えも感じています。グループ全体としても、GUにとっても、米国は有望市場であると捉えています。

 2つ目は、世界のファッションの中心地である米国で、GUをブラッシュアップすることです。ポップアップ店のターゲットはファッションに関心の高い層です。最終的な目標は幅広い層がターゲットとなりますが、まずはファッション感度の高い人に認めてもらうことが大切です。感度の高いお客様に見てもらって、フィードバックを得たいですね。

 アイテム(品目)は深く考えすぎず、自信ある商品に絞り込みました。米国市場に向けた商品開発などはせず、日本と同じラインアップです。価格帯についても考え方は変わらず、お買い求めやすい、最低価格ゾーンです。お客様に色々な着こなしを楽しんでもらうことが我々の価値ですので、スタイリングの工夫を尽くしています。

グレーターチャイナの次に、なぜ米国を選んだのでしょうか。

柚木氏:今は東アジア、すなわちグレーターチャイナに出店しています。“普通”の順番で言うと、次は東南アジアで、その先に欧米進出かなと思いますが、「順番を飛ばして、いっそ欧米にチャレンジしてみよう」という戦略ですね。語弊を恐れずに言うと、(欧米は)今のGUの実態や実力とのギャップが大きいのではないかと思っています。だったらその市場へ行って、どんどんブラッシュアップしたい。GUの実力や現状とのギャップを把握して学ぶことがミッション(使命)の半分を占めているのです。

GUの売上収益推移。2019年8月期以降、成長が緩やかになっている
GUの売上収益推移。2019年8月期以降、成長が緩やかになっている

新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、以前から米国への出店計画はあったのでしょうか。

柚木氏:以前から計画していたことではないですね。いつ決めたかはあえてお伝えしませんが、「店舗は小さくてもいいから、まずは早く調整してトライしよう」という戦略になります。

 現在出店している香港と台湾は、おかげさまで非常に好調です。一気に成長アクセルを踏んでいこうと考えています。一方、中国はまだ黒字化の手前です。ベーシックなユニクロに対して、GUはファッション性が高い。「ファッションの好みは地域差が大きい」という現実に直面しました。今は、それをどのようにチューニング(調整)すればいいかがだいたい見えてきたというところです。

 そして、海外戦略は「じゃあ、次」を考えるタイミングでした。グレーターチャイナは一生懸命やりますが、次の一手も同時に考えて、グローバル化を加速しようと。ウィズコロナで、業績が成長の踊り場ということもあったので、グローバル化で再成長のアクセルを踏むことにしました。

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