家具日用品大手・ニトリホールディングス(HD)が、腰を据えて物流改革に取り組み始めた。輸送費や原材料費が高騰する中、同社は全国に分散していた賃借の物流センターを2025年までに大規模な自社物件に集約。コスト削減を図る。その初手として、創業の地である北海道に設立した「石狩DC」が9月末から稼働する。従業員の負担を減らす工夫を凝らした同拠点は、将来の労働力不足も見据えた新しい物流拠点のモデルを目指す。

 札幌市中心部から車で30分ほど行くと、道央圏の海の玄関口となる石狩湾新港に到着する。この港に隣接する工業団地で、東京ドーム約2つ分の敷地面積を持つ物流施設が9月末から稼働する。家具日用品大手・ニトリホールディングス(HD)が建てた「石狩DC(ディストリビューションセンター、在庫保管型物流センター)」だ。

 船からの積み荷を港湾近くで受け入れる仕組みで、国内の輸送コストが削減できるという。延べ床面積は約7.7万平方メートルで、手狭になっていた既存の札幌DC(札幌市)の約2.1倍。物流量の拡大で他にも倉庫を借りていたといい、集約して効率化を図る。

9月末から本格稼働を始めるニトリの新物流拠点「石狩DC」
9月末から本格稼働を始めるニトリの新物流拠点「石狩DC」

2032年に世界3000店舗へ

 ニトリHDの成長戦略は出店数の増加がエンジンだった。1967年に「似鳥家具店」として北海道で創業後、72年には「100店舗・売上高1000億円」の30年計画を掲げた。90年代に本州へ進出し、2003年には100店舗に達する。世界市場にも目を向け、現在は32年までに「3000店舗・売上高3兆円」とする目標を旗印としている。

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 22年2月期決算で、ニトリHDは35期連続の増収増益を達成。現在の店舗数は本業の「ニトリ」のほか、インテリア雑貨の「デコホーム」やホームセンターの「島忠」などを合わせて国内708、海外93の計801店舗となる。23年3月期はさらに141店舗を増やし、36期連続の増収増益を見込んでいる。しかし、国内での積極的な出店攻勢は、やや風向きが変わりつつある。

 「店舗を増やした分のDCが必要になるが、今後(国内の店舗数は)極端な増え方はしないだろう。そこで、土地を買ってある程度の規模で(自社運営のDCを)実現することにした」――。ニトリHDの似鳥昭雄会長は8月、石狩DCの完成セレモニーで、物流改革の経緯についてこう話した。

石狩DCの完成セレモニーであいさつした、ニトリHDの似鳥昭雄会長
石狩DCの完成セレモニーであいさつした、ニトリHDの似鳥昭雄会長

 店舗数増加と足並みをそろえてDCを新設してきたが、「3分の2は賃借物件。今後は統廃合を考えていく」(似鳥会長)という。高速出店計画が一定の節目を迎えたこともあり、25年までに総額約3500億円をかけて、全国8カ所にDCを整備する計画も明かした。一部の既存DCの活用も含めて国内を8ゾーンに分割。店舗への入出荷とEC(電子商取引)の需要に備える仕組みを構築する。初期費用はかかっても家賃の支払いを減らせると見込んだ。

 物流改革の次の一手は、11月に神戸港近くで完成予定の「神戸DC」。23年秋には名古屋港近くの「名古屋DC」を新設する。海外生産が9割を占めるニトリ商品はコンテナ船で運ばれるため、港湾近くの物流拠点は不可欠なのだ。加えて、高速道路近くの拠点も開設予定で、24年春ごろには埼玉県幸手市の圏央道沿いに「幸手DC」がオープンする。「コスト削減に向け、整備を早めたい」(ニトリHDの松元史明副社長)と言う。

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