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 外出自粛を人々に迫った新型コロナウイルスの影響で、ネットで注文して家まで届けてもらうネットスーパーの需要が急増した。「生鮮品は自分の目で見て買いたい」といった理由で敬遠してきた層も新たに利用したようだ。

 ネットスーパーは、注文に応じて店舗の商品を近隣に配送する方法と、専用倉庫から出荷する方法に大別される。イトーヨーカ堂やライフコーポレーションは店舗から、西友は店舗からに加え、楽天との共同出資会社による専用倉庫からとの両方を手掛けている。イオンは8月、千葉県内にネットスーパー専用倉庫向けの土地を確保。英ネットスーパー大手のオカドと組んで2023年にも稼働させる。西友も楽天と手掛ける専用倉庫を来年初めに増設するなど、需要の急増に応える動きが相次いでいる。

 こうした中で、EC(電子商取引)世界最大手のアマゾン・ドット・コムは、自社の倉庫から配送する「Amazonフレッシュ」と、提携するライフコーポレーションが店舗から商品を出し、アマゾンが配送して届ける「Prime Now(プライムナウ)」の2本立てで、日本でのネットスーパー事業を営んでいる。両事業を担当するアマゾンジャパンの荒川みず恵Prime Now/Amazonフレッシュ事業本部長に、現状と将来見通しを聞いた。

荒川みず恵(あらかわ・みずえ)氏
米系インターネット広告配信企業、コンサルティング企業を経て2006年アマゾンジャパン入社。フルフィルメント by Amazonを経て15年からAmazonフレッシュの事業立ち上げに従事。Prime Nowの事業副本部長を経て17年9月から現職。

コロナ禍で需要はどのように動きましたか。

荒川みず恵氏:コロナ以前に遡ると、この1年、アマゾンのネットスーパー事業は大きな転換期を迎えました。17年に日本で始めたフレッシュは昨年9月、新しい料金体系を始めたことで、お客様の数が飛躍的に伸びました。

 それまではプライム会員にさらに月500円の費用が必要だったのですが、都度送料をいただく形に変えました。以前の料金体系は「毎月使うだろうか」という心理的障壁がお客様にはあった。そこを取り除くプランを示した結果、「気軽に試してみよう」というお客様が増えました。定着率も想定以上で、多くが毎月使ってくれている。お客様が増えていったことで手応えがありました。

 ライフコーポレーションと組んだプライムナウのネットスーパーも、昨年9月に始めました。ライフのお店でピックされたものをアマゾンが運ぶという形で、こちらも想定以上のお客様の反響がありました。コロナ禍による需要急増もあり、最初にお互いが合意していたよりも速いペースで拡大し、今年7月には大阪でもサービスを始められました。パートナーシップはうまくいっていると思います。

 そんな流れの中でコロナ禍が来ました。3月の終わりに東京都知事が外出自粛を発信しだした頃から、既存のお客様だけでなく新規のお客様が飛躍的に増え、注文が激増しました。

アマゾンフレッシュは川崎市の専用物流拠点から発送している