スマートフォンを差し込むと自宅の壁面をシアターにできる簡易プロジェクターなど、ユニークで低価格な生活雑貨を手がけるデンマーク発の「フライング タイガー コペンハーゲン」が日本進出から10年を迎えた。都心部のおしゃれなエリアでの出店が多かったが、この夏にオープンした最新の店舗があるのは郊外型ショッピングモール。ファミリー層が多い地域での出店を始めた狙いは何か。

 7月8日の朝、JR常磐線の亀有駅から徒歩数分の下町のショッピングモール「アリオ亀有」(東京・葛飾)の入り口前に200人近い行列ができた。お目当ては、この日オープンするデンマーク発の雑貨ストア「フライング タイガー コペンハーゲン」の国内36番目の店舗だ。午前10時に開店すると、赤字に白十字のデンマーク国旗を握った客が次々と入店し、キャラクターが描かれた限定商品を受け取った。

「アリオ亀有」で開店に並ぶ人々(写真=都築雅人)
「アリオ亀有」で開店に並ぶ人々(写真=都築雅人)

 「日本でのオープニングセレモニーはエネルギッシュで感動的だ。私たちの商品にこれほど熱意を注いでくれる方々がいることは本当にうれしい」。デンマークから来日し、開店に立ち会ったマーティン・イェアミーン氏はにこやかに語った。

 フライング タイガー コペンハーゲンは、イェアミーン氏が最高経営責任者(CEO)を務めるデンマークの「Zebra A/S」と、国内衣食住ブランドを展開するサザビーリーグ(東京・渋谷)との合弁会社「Zebra Japan(ゼブラ ジャパン)」が日本国内で運営している。

 同ブランドは、デンマークの夫婦がフリーマーケットで傘を売り始めたのが原点だ。1995年に起業し、ヨーロッパを中心に27カ国で858店舗(2021年末現在)を展開。Zebra A/Sの連結売上高は21年度、約670億円だった(1デンマーククローネ=17.7円で換算)。日本では、12年にアジア1号店を大阪のファッション中心地・心斎橋にオープンした際、客が殺到して3日間で商品がなくなり、臨時休業したことが話題となった。

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 その後、首都圏で表参道やマークシティ(東京・渋谷)、お台場(東京・港)などのショッピングエリアで大規模店を次々と展開してきたが、必ずしも順調ではなかった。日本進出から5年目に店舗数は27でいったん頭打ちとなり、翌年は出店数より退店数が上回った。停滞の要因に何があったのか。

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