百貨店大手のそごう・西武は、東京で調理した弁当や和菓子などのデパ地下グルメを新幹線で輸送し、西武秋田店で販売する取り組みを始めた。トラックで7時間近くかかった輸送時間は半減、日持ちの短い商品も提供可能になった。その狙いは先細る地方店の集客の下支えだ。

東京駅に停車中の秋田新幹線「こまち」
東京駅に停車中の秋田新幹線「こまち」

 早朝の東京駅。新幹線のホームに段ボール箱を満載した台車が待機していた。中に入っているのは、明け方に調理されたばかりの東京の人気デパ地下グルメ。「なだ万厨房」や「日本橋弁松総本店」といった名店の一品だ。

 午前6時過ぎ、秋田へ向かう1番列車の「はやぶさ・こまち1号」が入線した。最大時速は320km。東京駅を出発すると約4時間で秋田駅に到着する。ドアが開くと、2人の係員が手早く車内に段ボール箱を運んでいく。この日は、後続の「こまち5号」「こまち11号」を合わせ、計8ブランド26種類の商品が新幹線で運ばれた。商品は合計で870点にも上る。

秋田行きの「こまち5号」に段ボールを積み込む係員
秋田行きの「こまち5号」に段ボールを積み込む係員

 これらの商品は秋田駅で荷下ろしされ、駅前の西武秋田店(秋田市)に運ばれる。特設会場に並べられた東京のデパ地下グルメは、昼のピーク時間に合わせて午前11時半から販売される。現在は弁当などが中心だが、季節ごとに商品の入れ替えを検討中だ。12月には東京の人気店のクリスマスケーキを販売する予定だという。

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