経営陣とアクティビスト(物言う株主)の対立で注目を集めてきたセブン&アイ・ホールディングス(HD)の株主総会が5月25日に開かれた。米投資会社バリューアクト・キャピタルから退任を求められていた井阪隆一社長が再任されたほか、経営陣が提案した取締役候補は全て可決された。反対に、バリューアクトが推薦した取締役候補は全て否決され、セブン&アイ経営陣の「完全勝利」となった。何が勝敗を分けたのか。

 「そして私、井阪隆一でございます」

 株主総会は東京・千代田のセブン&アイ本店で開かれた。井阪社長は午後1時過ぎ、株主の投票結果を受けて「当選」した取締役を一人ひとり紹介したうえで、13人目に自身の名前を読み上げた。

 午前10時に始まった株主総会は、質疑などを経て正午に株主の投票を終えたが、実は開催前に大勢は決していた。議決権を事前に行使する機関投資家などが、井阪社長を支持する意思を示していたからだ。

 各取締役候補の賛成比率は上の図のようになる。1年前の2022年の株主総会における井阪社長の賛成比率は約94%。今回は約76%と大きく下がったが、「ひとまず十分な信任を得たと言っていいだろう」(株主総会の運営に詳しい関係者)

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