大手小売業の2022年2月期決算が出そろった。象徴的だったのが、セブン&アイ・ホールディングスが11年ぶりに営業収益でイオンを抜いて首位となったことだ。収益向上に貢献したのが、米国で買収したコンビニ3位の「スピードウェイ」。日本の小売業で双璧をなす2社だが、その中身は大きく異なる。業績から事業構造、将来性まで、10の視点で比較した。

①連結営業収益(売上高)

 日本の小売業で久々のトップ交代劇が起きた。

 22年2月期決算の連結営業収益(売上高)は、セブン&アイ・ホールディングスが8兆7497億円、イオンは8兆7159億円。11年ぶりにセブン&アイがイオンを上回ったのだ。

 イオンの営業収益は前期から1120億円増えた。従来予想(8兆6200億円)より上振れしたものの、それ以上にセブン&アイの伸びが目覚ましかった。セブン&アイの営業収益は前期比より2兆9830億円増えた。伸び率にして実に51.7%増である。勢いに乗って25年度までに年平均20%超、利益を伸ばそうと計画している。

 イオンは今期(23年2月期)、増収増益を目指し、営業収益は9兆円の大台を狙う。一方、セブン&アイは9兆6530億円を見込む。この計画が実現すれば、小売り2強の差はさらに開く見通しだ。

②連結営業利益

 小売業では、旧ダイエーのように規模を追いすぎて収益性をおろそかにしてしまうケースもよく見られる。しかし、今のセブン&アイにその心配はなさそうだ。以前から連結営業利益では常にイオンを上回っており、22年2月期も3876億円と、イオン(1743億円)の2倍以上だった。

営業利益ではイオンを上回っていたセブン&アイが、営業収益(売上高)でもイオンに追いついた
営業利益ではイオンを上回っていたセブン&アイが、営業収益(売上高)でもイオンに追いついた

 「丸1年、新型コロナウイルスでまん延防止等重点措置が頻発された中で、かなり打ち返したなと思っている」。イオンの吉田昭夫社長は、最終利益で黒字転換を果たした今回の決算を自己評価する。その一方で「(利益予想の)公表水準に達しなかったことは、良くないと判断せざるを得ない」と語った。

 収益性でセブン&アイがイオンを圧倒する構図は今期も変わらない。セブン&アイが営業利益で4300億円を目標に掲げる一方、イオンは2100億~2200億円止まり。ダブルスコアの差は埋まらなさそうだ。

③従業員1人当たり生産性

 企業としての「稼ぐ力」でもセブン&アイが優位に立つ。パートタイムなど時間給制を含む連結従業員数はセブン&アイ17万757人に対して、イオンが42万663人(いずれも22年2月期、時間給制従業員は期中の平均人員で換算した各社公表値)。フランチャイズ店を多く抱えるセブン&アイは、イオンと比べて事業会社の従業員数が少ない。1人当たりの営業利益はセブン&アイが約227万円に対し、イオンは約41万円にとどまった。

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