新型コロナウイルスの影響で、多くの客が訪れているのがドラッグストアだ。マスクや消毒液などの関連商品を求める消費者に加え、新型コロナの発生以前から通っている慢性疾患を抱える患者などの顧客もいる。7都府県を対象に緊急事態宣言が発令されたが、ドラッグストアは日常生活の維持に必要な小売業として当然、営業を続けている。だが、最前線で働く従業員は、感染リスクによるストレスだけでなく、普段より多い来店客への対応や一部の心ない客から浴びせられる言葉などで疲弊しているのが実情だ。
全国で約1300店を展開する「スギ薬局」を傘下に持つドラッグストア大手のスギホールディングス(HD)は、4月7日から本部で働く管理系社員の3分の2を、店舗応援に送り出している。店舗の従業員が普段より休息をとりやすくするのが狙いだ。10日には、パート・アルバイトを含む約2万6000人の全従業員に特別手当を支給した。スギHDの創業者である杉浦広一会長に、現在の状況や見通しを聞いた。

1300店舗を開け続ける使命感
4月上旬から、本部の社員が店舗に応援に行っているそうですね。
杉浦広一スギホールディングス会長(以下、杉浦氏):4月7日から、最低限必要な間接的な仕事をする2~3割の社員だけを本部に残し、ほかの7~8割の社員は店舗の応援に行っています。例えば私がいる愛知県大府市の本部は、普段は500人ほどが働いていますが、今ここで働いているのは100人ちょっと。常時、100人近くいる東京と大阪の本部も、基本的に2割くらいを残して、朝から晩まで店舗業務の支援をしています。
部長級などの管理職ももちろん、店舗に行っています。もともと5年ほど前から、本部の社員が週1回、店舗に行って仕事をするようにしていましたから、即戦力なんです。本部の社員が少しでも店に入って、倉庫の整理やトイレの掃除、レジなどの作業をして、店舗が本部と一体となって、スギ薬局の理念である「地域のお客様、患者様たちのために貢献する」ということを実現しようとしています。
毎日、幹部級社員も含めて現場に行くほど現場は切迫しているということですか。
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