セブン&アイ・ホールディングス(HD)は3月30日、百貨店子会社そごう・西武の売却手続きについて、3月中の株式譲渡を断念したことを発表した。売却手続きを巡っては、関係自治体や地権者、ステークホルダー(利害関係者)との調整が難航し、株式譲渡の当初予定日が2月1日から3月中へ延期となっていた。同社は4月以降の譲渡実行(クロージング)を模索する。

 セブン&アイHDが3週間前の3月9日に開いたオンライン会見で、同社の井阪隆一社長は1年近くかけて進めてきたグループ戦略の再評価結果について説明した。「食を中心とした世界トップクラスのリテールグループを目指す」という内容だったが、読み上げた数十枚のスライドにそごう・西武に関する記載はほとんどなかった。それもそのはず、もともと同社はそごう・西武の株式譲渡を終えた後に、この会見に臨む見込みだったからだ。

3月9日、オンライン会見に臨んだセブン&アイHDの井阪隆一社長
3月9日、オンライン会見に臨んだセブン&アイHDの井阪隆一社長

 「最後に直近、いろいろな報道でお騒がせしておりますが――」。井阪社長は全てのスライドを読み終えた後、資料に記載のなかったそごう・西武の売却手続きを巡る状況の説明に5分近く時間を割いた。2000年に約9兆円だった百貨店業界の市場規模は、21年には5兆円を切る水準に縮小している。そごう・西武も様々な施策を打ってきたが、「依然として厳しい状況にある」と打ち明けた。

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