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 新型コロナウイルスの感染拡大で、化粧品の消費模様が変わりつつある。ファンデーションや口紅などのメークアップ用品の売れ行きが振るわないのだ。「外出しないためメークをしなくていい」という心理が働いているようだ。

メークアップ用品は苦戦している(写真:PIXTA)

メーク類が1~2割減

 「化粧品は苦戦している」。ある大手ドラッグストアの担当者はこう打ち明ける。

 2月はインバウンド客が激減した影響があったものの、それを打ち消すだけのマスクや消毒剤などの特需があり、既存店の客数は前年比2ケタ増。マスクが売り切れていても、日用品などのついで買いが貢献して売上高も2ケタ増を確保した。

 そんな中で、化粧品類は前年比マイナスとなっている。とりわけ「リップ、チーク、ファンデーションなどが苦戦している」といい、メーク用品の売り上げは前年比1~2割減ったという。もともとインバウンド客の需要が大きい分野だが、同様のスキンケア用品に比べて減少幅が大きい。

 ホームセンター大手のカインズ(埼玉県本庄市)も同じ傾向だ。メーク類は2月10日以降の4週間の売り上げが前年比1~2割減った。「外出を控えるようになったので、メーク類の消費が減っている」(同社)。一方でスキンケアなどの基礎化粧品は、多い週で2割増。同社は「基礎化粧品は外出しなくても使うからではないか」と分析する。男性用化粧品やハンドクリーム、白髪染めなども売れているという。トイレットペーパーやマスクを買いに来た客がついで買いをしている構図はドラッグストアと同じだ。

それでも売れるメーク用品は

 とはいえ、すべてのメーク用品に一律の影響が出ているわけではないようだ。ある中堅化粧品メーカーは「口紅やグロスなどのリップ関連は不調だが、アイメークは新商品も売れている。眉毛関連は安定している」という。担当者は「口元はマスクで隠れるため、口紅などを塗らなくなる一方、マスクでは隠れない目元はしっかりメークしたい需要がある」と売れ行きの差を分析する。

 感染拡大防止のため、百貨店では1月下旬ごろから、美容部員が客にメークを施すサービスを止めている化粧品メーカーも多い。だが、今回紹介した販売動向は、こうした販売手法の変化だけがもたらしたわけではない。テレワーク拡大やマスクの常時着用といったこれまでと異なる生活スタイルから、需要が変化している。