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 ビックカメラは2020年3月末までに、東京・有楽町や新宿西口、大阪・なんばなどの旗艦店舗に電子棚札を導入する。現在7店舗で採用しており、20年9月までに全店に広げる。総額約60億円を投じて棚札の電子化を進める背景には、店員の負担軽減だけでなく、リアル店舗の魅力向上につなげられるとの判断がある。

池袋本店などで電子棚札を導入している

 ビックカメラが導入しているのは、ネットワーク経由で指示を受け取ると、数秒で表示が切り替わる電子棚札だ。単に値段を表示するだけではない。棚札には近距離無線通信規格「NFC」の読み取り機能が内蔵されており、スマホをかざすと反応する。この機能を使い、ビックカメラのアプリを起動した状態のスマホを棚札にかざすと、スマホ画面にその商品の詳細ページが表示される仕組みを導入した。「アプリでタッチ」として特許を申請中だ。

 ビックカメラは18年12月にビックカメラセレクト京都四条河原町店で初めて電子棚札を導入した。これ以降、19年2月オープンの町田店など新規開業した店舗では棚札の電子化を進めてきた。その背景には、「自社のEC(電子商取引)サイトとリアル店舗の価格を統一する」という大きなテーマがあった。

2017年にネット通販と店頭の価格をそろえる

 競合の動きを見ながら価格を変更するのは、家電量販店にとって重要なミッションだ。インターネットがない時代には、「店員が朝一番で近くの競合店に行き、値段をチェックして自店の価格の参考にしていた」(小峰浩一執行役員)。

 米アマゾン・ドット・コムや楽天などの専業だけでなく、ヨドバシカメラなど家電量販の競合企業もECを強化する現在、他社のECの価格を参考にすることは必須事項。刻一刻と変わる競合ECの価格への対応は、ECならば一瞬でできるが、店舗だと店員が新しい値札を印刷して貼り替えるという膨大なアナログ作業が発生する。

紙の値札の貼り替え作業は煩雑だ