ネット活用による新しいコンビニモデルの確立や総合スーパー事業との相乗効果の創出に挑むセブン&アイ・ホールディングス(前回の記事)。海外で成長を目指す中、成長のための原資でもある国内コンビニ事業をぐらつかせないことが必須条件だ。ただ、50年近い歴史を重ねたコンビニエンスストアには制度疲労も目立つ。本部優位の「殿様商売」では加盟店オーナーの離反を招きかねない。大阪府東大阪市で起こったオーナーとの対立からちょうど3年。セブンはどう変わってきたのか。

「セブン-イレブン」の看板を掲げた2つの店舗が柵を挟んで並ぶ異様な光景が広がる。もともとここで営業していた店舗は休業中。駐車場として使われていた敷地に建った仮設店舗が2021年5月から営業を始めている。
ここは大阪府東大阪市。セブン-イレブンの事業モデルの根幹であるフランチャイズ契約、ひいてはコンビニエンスストアそのものの課題をあぶり出した事件の震源地だ。
19年2月1日、「セブン-イレブン東大阪南上小阪店」がセブン-イレブン本部の反対を押し切って時短営業に踏み切った。オーナーの松本実敏氏が人手不足のため24時間営業を継続できないと主張したものの、24時間営業を原則とする本部と対立したのが理由だった。
同年12月末にはセブン本部が松本氏とのフランチャイズ契約を解除する。顧客からの苦情件数が多いことや、ツイッターに本部を批判する内容を投稿していたことを解除の理由とした。その後、松本氏はオーナーの地位確認を求める訴えを、本部は松本氏が拒んでいた店舗の引き渡しを求める訴えをそれぞれ起こした。
係争は現在も続いている。松本氏が引き渡しを拒む店舗の駐車場に仮設店舗を建てて運営しているのはセブン本部だ。
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