1月31日、国内で百貨店3店が相次いで営業最終日を迎えた。都心、郊外、地方とそれぞれの実情に合わせた商業施設に生まれ変わる予定だ。一方、2月1日に予定されていたそごう・西武の株式譲渡は延期になった。新たな商業施設像をどのように描くのか。

 1月31日、東急百貨店本店(東京・渋谷)には午前10時半の開店前から多くの客が殺到した。各フロアでは閉店セールを実施し、レジの前には長蛇の列ができた。地下1階の食料品フロアでは、午後3時すぎには商品棚の多くが空になっていた。

営業最終日には各フロアのレジの前に長蛇の列ができた
営業最終日には各フロアのレジの前に長蛇の列ができた

 午後7時に閉店を迎えると、店前で稲葉満宏店長が最後のあいさつ。東急グループの商業施設で今後も東急百貨店の売り場が続くことに触れ、「今後も渋谷でご愛顧を賜りたい」と語った。報道陣のフラッシュを浴び、集まった人たちから拍手を受けながら一礼。シャッターを下ろして半世紀の歴史に幕を閉じた。

営業を終えた午後7時すぎ、稲葉満宏店長が最後のあいさつをした(写真:都築 雅人)
営業を終えた午後7時すぎ、稲葉満宏店長が最後のあいさつをした(写真:都築 雅人)

人気の商品カテゴリーは移設

 「今日ですべてが終わるわけではない」

 そう話すのは、同店の食料品フロアで責任者を務める川口淳統括マネジャーだ。人気カテゴリーの商品は売り場を移して営業を続ける。店がなくなった後もいかに顧客をつなぎとめるか、あの手この手の策を練る。

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