新たな成長の原動力を海外に求め、米ガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」の巨額買収を決めたセブン&アイ・ホールディングス。買収に踏み切った理由やグループの成長戦略を井阪隆一社長が語りつくした。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)
■掲載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)セブン&アイ、覚悟のコンビニ回帰 脱・流通コングロマリット
(2)セブン&アイ井阪社長「変わり続けねば死んでしまう」(今回)
(3)成長の原動力は世界へ 「日本流」だけじゃない
(4)ネットで変貌する店舗 その先に見る勝ち筋
(5)鈴木敏文名誉顧問インタビュー「自ら歴史を創り出せ」

1957年東京都生まれ。80年青山学院大学法学部を卒業、セブン-イレブン・ジャパンに入社。90年からハワイの店舗の再建を担当。商品開発畑の経験が長く、「冷やし中華」の試食で鈴木敏文氏から11度も突き返された経験もある。2002年取締役、07年同商品本部長。09年にセブン-イレブン・ジャパン社長に就任。16年に鈴木敏文氏が退任を表明した後、セブン&アイ・ホールディングス社長に就任(写真:的野弘路)
約2兆3000億円を投じて米ガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」を買収しました。米連邦取引委員会(FTC)から最終的な承認を得るのに時間もかかりましたが。
成長の柱にしている事業なので、ここが固まるまで2021年4月に予定していた中期経営計画の発表を延期せざるを得ませんでした。何とか完了し、7月1日にようやく中計を発表できました。
私たちが持っている成功モデルの一つは、私も現地に行っていたハワイです。買収直後の1990年ごろは1日当たりの店舗売り上げが3000ドルほどでしたが、今ではその3倍ぐらいになっています。
(日本で食品加工を委託してきた)わらべや日洋ホールディングスさんの資本が入っている地場の会社にフレッシュフードの製造をお願いすることになり、その過程で「スパムおむすび」というキラーコンテンツが生まれた。それが売り上げが大きく伸びるきっかけとなりました。
コアになる工場が地場にあって、現地の人が「このフレッシュフードだったらいいね」と言ってくれるような商品を開発する。そうすればコンビニのパーセプション(認知)が変わると身をもって知ったのです。
同じようなことを米国本土でもできるはずだと考え、まず2018年に(米中堅コンビニの)スノコLPから1000店規模を買収しました。そして、今回のスピードウェイの買収に積極的に動いたのです。一度諦めかけたこともあったのですが。

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