苦境が続く百貨店業界だが、かつてあれほど人々が押し寄せたのはなぜなのか。経済産業省の「百貨店研究会」で座長を務めた伊藤元重・東京大学名誉教授は「スターバックスコーヒー」に人々が来店する理由に例えて説明する。少子高齢化や人口減少が続く地方でこれからの百貨店はどうあるべきかを聞いた。

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(5)「三十貨店も選択肢」伊藤元重・東大名誉教授が語る百貨店の未来(今回)

伊藤元重 [いとう・もとしげ] 氏
伊藤元重 [いとう・もとしげ] 氏
1951年静岡県出身、専門は国際経済学。東京大学経済学部卒業。米ロチェスター大学大学院博士課程修了、経済学博士。復興庁の有識者会議「復興推進委員会」委員長のほか、JR東日本、静岡銀行、はごろもフーズなどで社外取締役を務める。著書に『百貨店の進化』(日本経済新聞出版)がある。東京大学名誉教授(写真:都築 雅人)

百貨店業界は縮小が止まりません。社会機能として不要になってしまったのでしょうか。

伊藤元重・東大名誉教授(以下、伊藤氏):「百貨」という名の通り、百貨店は様々な商品を扱ってきました。昨今は量販店や専門店の台頭で、陳列する商品は高級品や贈答品などに限られています。ただ「百貨店は不要なのか」といえば、そうではない。今後、期待されるのは街の中心部のにぎわいを生み出す役割です。

スターバックスコーヒーの店内ではPC作業や読書をする人が目立つ
スターバックスコーヒーの店内ではPC作業や読書をする人が目立つ

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