全国の地方百貨店では今、生き残りをかけた“奇策”が次々と生まれている。地方銀行と同じように、商圏が被らないことに気づいた店舗同士で、催事や装飾品などで協力する場面も見られる。各地の取り組みを紹介する。
■連載記事
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(2)そごう去りし徳島 “拾う神”三越がDXで地方と東京を橋渡し
(3)「個とつながる百貨店」 三越伊勢丹HD細谷社長の描く地方戦略
(4)松屋はなぜ地方に活路を求めたのか 百貨店あの手この手の生存戦略(今回)
(5)「三十貨店も選択肢」伊藤元重・東大名誉教授に聞く百貨店の未来
「今度うちでこんな催事をやります。興味はありませんか?」
地方百貨店11社がネットワークを組み、隔月に開催するオンライン会議では、互いのイベント情報などを交換している。少子高齢化や人口流出といった共通の課題を抱える中、商圏が被らないことに気づいた地方百貨店同士は、地方銀行と同じように連携を模索し始めている。
共通サイト立ち上げを機に
きっかけは2021年秋。関西を拠点とする近鉄百貨店が呼びかけ、地場産品を紹介する4社合同のウェブサイト「全国ご当地おすすめ名産品」を立ち上げた。新型コロナウイルス禍で旅行が難しくなる中「旅するような気持ちで全国各地の商品を楽しんでもらいたいと考えた」(近鉄百貨店の淺井国一・EC事業部長)という。
近鉄がサイトを管理し、参加社が分担してコストを払う。各社の電子商取引(EC)サイトからバナーを貼り、互いのEC顧客を送り合う仕組みで、月3万ほどのアクセス数があるという。合同ウェブサイトの運営方針などを確認するオンライン会議の「おまけ」だった各店の情報交換が、重要な役割を果たし始めている。
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