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 コーヒーを飲みながら、仕事や勉強で疲れた頭を休める──。

 2020年以降は、そんな手軽な気分転換の前に、財布との相談が必要になるかもしれない。地球温暖化に伴う生産地の減少と、新興国での需要増が重なり、コーヒー豆の需給がひっ迫する懸念が業界に広がっているからだ。

(写真:PIXTA)

 赤道直下のインドネシア・スラウェシ島。標高1000メートル超の高地でキーコーヒー(東京)が運営する農園で、原産地の異なる約40種の苗を育てる「実験」が進められている。コーヒーの国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)」と協力し、生育状況を観察して気候変動や病気に強い品種の開発に役立てるのだという。

 WCRは報告書で、コーヒー生産の6割程度を占める「アラビカ種」の生産に適した土地が2050年に半減する危険性を指摘した。以来、業界に問題意識が広まり、スターバックスやネスレなど世界的なコーヒー大手も病気に強い品種改良など研究に取り組んでいる。

 コーヒー危機の背景の1つは、地球温暖化だ。WCRは、病気や害虫の増加、降雨量の変化、干ばつといった異常気象を生産地縮小の要因として挙げる。

「コーヒーベルト」に広がりつつある危機

 影響は既に、「コーヒーベルト」と呼ばれるコーヒーの生産適地に広がりつつある。

 赤道を中心に北緯約25度から南緯約25度の間に位置するコーヒーベルトには、約60カ国に多くのコーヒー農家が点在。昼夜の寒暖が激しいほど味が良いため、標高500~2500メートルの高地で育てられているケースが多い。

 そんなコーヒーの樹は非常に繊細で、気温は年平均20度ほどの過ごしやすさ、良好な日当たり、水はけの良さなど生育に必要とされる条件が多い。それだけに、地球温暖化の影響がじわじわと忍び寄る。

 「30年前は標高1800メートル程度だったのに、今は(暑さを避けて)2000メートルまでの高さまで生産地が移っている」。三井物産の担当者は、グアテマラで30年以上コーヒーを手掛けるベテラン業者からこんな話を聞いた。もともと、高地での栽培は人件費などコストが高くつく。温暖化の影響を避けようと生産地の標高を高くすれば、さらなる価格上昇の圧力にもなる。