本書を推薦した理由

 『人間の歴史は繰り返す』とはよくいわれるものの、常に当事者である「我々」からすればにわかに信じがたい。「今回は違う」という裏付けのない自信は、無謀なる勇気となり得る。その結果こそが「バブル経済」の出現と崩壊だ。

 過去のバブル史をひもとくと、その根本的な原因は驚くほど共通点がある。今なお人類が脱することのできないパンデミック下での異常なまでの株価上昇だけでなく、仮想通貨や非代替性トークン(NFT)といった代替的な資産の隆盛は、市場参加者のみならず個人投資家にまで「バブル経済の再来」を意識させるには十分であった。事実、書店ではバブル経済に関する書籍の売り上げが良好と聞く。

 グレート・リセッションに関する書籍や文献は数えきれないほど存在するが、読むべきものに限定するとその数は多くない。『大暴落1929』は、時代背景から、バブル崩壊の原因と結果まで、難しい数式などを使うことなく、非常に平易な言葉遣いで解説している。ジョン・K・ガルブレイスによる考察は現代の不可解な金融市場についての理解を深めるための貴重な資料としてぜひとも読んでおくべきだ。読了後、現在と過去の状況には多くの共通項が見いだせることに気づくだろう。

次ページ 大崎匠の連載「50歳からの資産運用」について