『20代で人生の年収は9割決まる。』著者の土井英司さんにニューノーマルの時代に読んでおきたいビジネス書5冊をあげてもらった。日刊書評メールマガジン「ビジネスブックマラソン」編集長で、年間1000冊を読むビジネス書の目利きが薦める本とは──。

土井英司(どい・えいじ)
エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役/「ビジネスブックマラソン」編集長
1974年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。ゲーム会社、編集者・取材記者・ライターを経て、 Amazon.co.jp立ち上げに参画。27歳で同社の社長賞にあたる 「Company Award」を受賞。数々のベストセラーを仕掛け、 「アマゾンのカリスマバイヤー」と呼ばれる。2004年、30歳で独立。国内160万部、世界1100万部を突破した 『人生がときめく片づけの魔法』の近藤麻理恵氏をはじめ、 多くの著者の出版プロデュースに携わる。 04年7月に発行開始した日刊のメルマガ 「ビジネスブックマラソン」は読者数5万4000人超。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、あっという間にオンラインシフトが進んだように、経済環境は突然変化することがある。そんなときに慌てふためくことなくチャンスをつかむには、1.「変化を正しく捉える力」と2.「変化に適応する柔軟性」が必要だ。
 ニューノーマル(新常態)に読んでおきたい本を厳選して5冊、紹介しておこう。

あくまで数字を見つめて行動する

 変化を正しく捉えるには、まっさらな目で事実を見つめる必要がある。ここで2020年のビジネス書1位(トーハン調べ)に輝いた『ファクトフルネス』を挙げるのはあまりに王道だからやめておいて、代わりにロングセラーとなっている『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』を紹介したい。

 本書は、今も愛され続けるサイゼリヤの創業者、正垣泰彦氏がサイゼリヤの経営の秘密を語った一冊。
 東京理科大学出身の著者が、純粋に数字を見つめて発見した事実、それは<5割引きにしても売れないから7割引きにしたら、「客数が1日20人から一挙に600~800人まで増えた」>ということだった。この世界では、消費行動に限らず、ある数値を超えたとき、突然物事が大きく変化するということが起こる。その数値を閾値(いきち)と呼ぶが、サイゼリヤにおけるそれは、「7割」だったのだ。
 現在のサイゼリヤの経営は、だったら7割引きでも成り立つように原価をコントロールすればいい、という思想に基づいている(現在のサイゼリヤは生産者でもあるため、より原価を安くして質の高いものを提供できている)。

 自社の都合で考えるのではなく、数字を通じて真実をつかみ、そこに自らを適応させていく。本書には、そんな経営の定石が書かれている。

『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』正垣泰彦(著)、日経ビジネス人文庫、2016年

「学歴」ではなく「学力」が必要

 次にご紹介したいのは、読書ブロガーとして知られる読書猿氏が書いた『独学大全』。
 GAFAが学歴不問を打ち出している今、求められるのは「学歴」ではなく「学力」。変化に対応する力を養うには、もはや「正解」や「模範例」を求めていてはいけない。自分の目的に必要な知識を仕入れ、体系化していくための「独学」が必要だ。
 本書には、そんな独学のスキルが、800ページ近くに及ぶ大ボリュームでまとめられている。

 独学にありがちな、「何を、どう学べばいいか分からない」「時間がない」「続かない」などの問題を解決できるよう、工夫されているのが特長だ。
 1/100プランニング、2ミニッツ・スターター、グレー時間クレンジング、習慣レバレッジなど、読者が志や目標を立て、やる気を持続させるためのさまざまな理論やテクニック、さらには調べものをし、知識を体系立てていくための方法論も紹介されている。
 学会発表、論文掲載、書籍執筆でも使える技術がまとめられており、重宝するだろう。

『独学大全』読書猿(著)、ダイヤモンド社、2020年
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