新しい社会システムの「原理」を学ぶ
変化の時代に必要なのは、何が新しい時代の「原理」なのかだが、そのうちの1つを紹介した本に『世界は贈与でできている』がある。
本書は、第29回山本七平賞、奨励賞を受賞した、今注目の若手哲学者・近内悠太氏のデビュー作。資本主義の「交換」の原理がなぜ行き詰まっているのか、なぜ現代に生きるわれわれはこうも生きづらいのか、なぜ未来を創るエネルギーが湧いてこないのか、「贈与」の概念を理解することで、多くの疑問に答えることができるようになる。
われわれが先人たちから受け取った「贈与」に気づき、感謝することで、未来へと贈与をつなぐ動機が生まれる。資本主義に染まりきったわれわれが、新しい社会システムを創るために、今最も読んでおくべき一冊かもしれない。
コロナ禍における観光ビジネスの新トレンドとは
残り2冊は、ニューノーマルに対応するための企業と個人の指針となる本を紹介しよう。
『観光再生』は、2019年まで絶好調だったものの、このコロナ禍で大きく修正を迫られた観光業再生のための秘策。
著者は、国内最大級の観光総合情報サイト「やまとごころ.jp」の運営を手掛ける、やまとごころ代表取締役の村山慶輔氏だ。「サステナブルな地域をつくる28のキーワード」ということで、サステナブル・ツーリズムやリジェネラティブ・トラベル、地域教育とシビックプライド、マイクロモビリティ、観光型MaaS、バーチャルツーリズム、アドベンチャー・ツーリズム、ロングステイヤー/ワーケーションなど、これからの観光ビジネスの新トレンドとなるキーワードと、その最先端事例を紹介している。
サステナブルな生き方のヒント
最後に紹介するのは、食品ロス問題のジャーナリストとして広く知られる、井出留美氏による、ニューノーマル時代の生活のあり方に関する本。
本書『あるものでまかなう生活』には、われわれがサステナブルな生き方をするためのヒントや、SDGsをチャンスに変えるビジネスのヒントが書かれている。
飲食店の休業で行き場を失った魚を救うべく「オンライン捌(さば)き教室」を企画した三重県の友栄水産、バナナペーパーの名刺を作る北海道・旭川の「北の印刷屋さん(成瀬印刷)」など、企業事例も豊富だ。
日系・外資系企業、フリーランス、独立起業と、幅広いワークスタイルを体験した著者が語る、本音のキャリア論。就活生から若手ビジネスパーソン、転職、起業を考える中堅まで。不確実時代の働き方、決定版。
会社との相性は適切か/「2つのリスト」が身を守る/資格よりも「意外・複雑・多様」/ビジネスの下流で仕事をしろ/年収をあげる転職。3つの考え方/ポジションより「武勲」を狙う……生涯にわたって運用できる、「自分という資産」の磨き方のヒントが満載です。(日経ビジネス人文庫は創刊20周年)
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