「100年に一度の変革期」とされる自動車業界。2020年も「CASE」と呼ばれる次世代技術の実現に向けた開発競争が進む。ただ、SBI証券の遠藤功治氏は「もう一つの『CASE』が20年のキーワード」と指摘する。中国(China)、米国(America)、仲間での共有(Share)、電動化(Electric)だ。

 まずは世界最大の中国市場。20年は若干の回復が期待される。理由の一つは大都市が交通渋滞対策のために導入していたナンバープレートの発給制限の緩和に乗り出していること。ハイブリッド車(HV)を「低燃費車」と見なして優遇する検討も始まり、HVが得意なトヨタ自動車やホンダには追い風が吹く。

 中国市場は19年、低調だった。18年7月から始まった新車販売の前年比マイナスは19年10月期まで継続。米中貿易摩擦による影響は一巡したものの、景気後退で慎重な消費心理が働いた。

全体で見れば緩やかな成長が期待できる
●世界の主要市場別の自動車販売台数
注:ライトビークルと呼ばれる車両総重量で6トン以下の乗用・商用車トラックを含み、中大型バス、トラック車両は含まず
出所:IHSマークイット

サブプライム比率高まる

 中国に続く市場の米国の新車販売は19年もほぼ横ばいで、売れ行きは悪くない。多目的スポーツ車(SUV)とピックアップトラックの割合が増えて販売価格が上がっており、市場規模は緩やかに拡大している。セダンが主力の日本車メーカーは製品切り替えを急いでいる。

 一見好調そうな米国だが、遠藤氏によると「サブプライム比率が高まっている」。背景には金融緩和からくるカネ余りがあり、審査が緩くなり、値引きも目立つという。20年11月に大統領選挙が予定されており、目先の景気悪化は想定しにくいが、市場の健全性には注視が必要だ。

 次に「S」はトヨタが積極的に進めている「仲間づくり」だ。19年には仏グループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が経営統合で基本合意。国内でもトヨタがスズキと資本提携、SUBARUとも関係を深くした。

巨大グループへの集約の動きが進んでいる
●世界の自動車大手の資本関係
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