弊社が2019年夏に出版した『同窓会に行けない症候群』には、中川さん同様、学生時代にいじめを受けて、当時のことを思い出したくないから同窓会に行きたくないという人の話も出てきます。
中川:行かなきゃいいです。行く必要はありません。全ての同窓会に行くなと言っているわけではないですよ。例えば私の場合、小学校5~6年のクラスは先生とも生徒同士もとても仲がよくて、ついこの間も同窓会をしたばかりです。
中学の卒業前に学校に行かなくなってしまった自分にとって、学生生活で一番楽しかった時代。ひたすら懐かしい思い出話をして笑って、みんなそれぞれ違う道を歩んでも、あの頃の懐かしさは時がたてばたつほど宝石みたいに輝いて、それは楽しい時間でした。そういう同窓会はどんどん行けばいい。でも、嫌な人と会う同窓会なんて行く必要ないと思います。大切な人とは普段から会っていますし。この間もプチ同窓会を開きました。
同窓会も忘年会も嫌なら「スルー」で構わない
「学生時代の仲間でも会いたい人とは普段から交流している。同窓会というのは“会いたくない人とわざわざ会う場所”。だったら行く必要なし」とハライチの岩井勇気さんも話してました(「ハライチ岩井が語る『今時、同窓会に参加する人』の正体」)。
中川:正直、人間って「あ、この人、ちょっと合わないな」みたいな部分は誰しもあると思うんです。だから周りの人や自分が関わってきた人全員と仲良くする必要なんか全くないと思うんですよ。人の寿命は限られているじゃないですか。そう考えれば、無駄なストレスをため込むのって本当に時間がもったいない。人生がもったいないです。
そこは、『同窓会に行けない症候群』の根幹的主張でもあります。
中川:特に、妙に変な攻撃性が含まれている人っているじゃないですか。そういう人と関わるのは面倒くさいし、時間の無駄です。寿命という時間をすり減らしてまた嫌な思いをしたら嫌じゃないですか。

確かに最近の同窓会では、攻撃性の高い人が他人を攻撃しようと集まるケースもあるとの指摘もあります。いずれにせよ、気の合わない人と会うことになる同窓会も、パワハラ・セクハラし放題の場と化す可能性さえある会社の忘年会も、嫌なら行かなくていいというわけですね。いつか時間がたって、そういう嫌な相手にも会いたいなどと思う日は来るのでしょうか。
中川:大人の中には「いじめは卒業すれば終わる」と思っている人もいますが、私の場合、いじめられたダメージみたいなものが本当に薄れ始めたのは20歳ぐらいからでした。いじめと関係のない環境になっても、いじめられた経験がフラッシュバックして思い出すことがあった。心の傷は一生消えないのかもしれません。
Powered by リゾーム?