東京工業大学の池上彰特命教授と、上田紀行教授(副学長)が、教養について語り合う、シリーズ企画(*)。文庫版『池上彰の教養のススメ』の刊行を機に、あらためて教養の意義を考えました。
ギリシャ・ローマ時代の奴隷と、組織で働く現代人はどこか似ている。“奴隷”から抜け出し、自由市民になるために、私たちができることとは?
(取材・構成:小野田鶴)
ビジネス書やビジネス誌の世界では、2010年代前半から「教養ブーム」といわれています。そのブームは沈静化するどころか昨今、教養へのニーズはさらに高まっている気がします。
池上彰氏(以下、池上):それには2つの文脈があると、前回、上田先生に整理していただきましたね。「大学側の反省」と「社会の側の需要」の2つです。大学側の反省については、すでにお話ししましたが、社会の側の需要として見逃せないのが、イノベーションです。
イノベーションと教養といえば、有名なところでは、スティーブ・ジョブズとカリグラフィーですね。

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