外国人差別は「えせ保守」みたいな人があおっている

話題が変わりますが、日本には外国人差別が根強く残っているという声もあります。肌の色や習慣が違う人は住みにくい場面もあるように思います。

藤原:外国人差別は「えせ保守」みたいな人があおっているように感じています。自民党政権にもそれっぽいにおいがあるような気がする。以前はメインストリームの政治家の中に外国人をあからさまに敵対視するような人はいませんでした。

 もともと学校の教員は左翼系が多く、差別意識を持つことに批判的な人が多かったのです。そうはいってもマスコミでは、中国と尖閣諸島の問題が大きく取り上げられてきました。領空侵犯に対するスクランブルもあって、北朝鮮がミサイルを発射したりもする。みんな耳年増になって、中国ってどうなのか。北朝鮮ってどうなのかといった意見が増えているような印象です。

 留学して外国人と交流するとそういう意識が変わります。留学したときに外見が似ているのは韓国系や中国系の人で、一緒に食事をしたりする。実体験として草の根で交わることが大事です。政治的にもめていると、子供ながら真に受けちゃう。自分も外国に対して厳しいことを言う方がカッコいいとなります。相互理解を深めるには、混ぜて同じフィールドで同じ釜の飯を食うのが早いのです。

 バングラデシュで最難関のダッカ大学を目指す貧困層の若者の勉強を支援する、新興国版「ドラゴン桜」ともいわれる「e-Education」というプロジェクトがあります。同プロジェクトで実際に貧しい村からダッカ大学に合格したのがマヒン・マーティンさんです。

 その後、日本の一橋大学の国際・公共政策大学院に留学し、卒業後はバングラデシュの田舎の学生にイーラーニングを提供しています。一橋大学では米倉誠一郎教授(当時)がメンターでした。私たちもマヒンさんの活動をささやかながら支援してきました。

 マヒンさんは1989年生まれで、私の息子よりも少し若く、息子夫婦を交えて4人で食事したこともありました。私の息子は、6歳で日本に戻ってきて、大学卒業後に就職してからも米IT大手の担当になって海外に出た。日本から外に出るのは素晴らしい経験です。

九門:実は私も前の著書の『アジアで働く』で「e-Education」について紹介したことがきっかけでマヒンさんを知っていて、アジアへの理解を深めるための日本人向けの講座で話してもらったりして彼を応援していました。

 日本の外国人受け入れにはいろいろ障害があります。それでも、なるべくとにかく外国人と一緒にいることが大事です。文部科学省の「トビタテ!留学Japan」などさまざまな支援策を活用したらチャンスも広がるでしょう。また、日本に30万人以上いる外国人留学生とのつながりを増やすことも大事です。彼らと一緒に学んだり、活動したりすれば日本にいながらにして多様性を肌で感じることができます。

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