すごく面白い質問を書いてくれたのは誰?

九門:オンライン授業の際に、「Zoom」のチャットに入力させることで、質問やコメントが普段より出やすいなあと感じることがあります。さらに入力がとても速く短時間で的確にコメントする学生が多いことにも驚きました。スマホなどでチャットへの入力が慣れているんですね。

 また、普段意見を言わなそうな学生が意外と面白い意見を言ってくれたりします。オンライン化でこうした場面が増えると、授業で発言できなくてもレポートではしっかりした内容を書く学生の表に出ない声を拾うことにもつながりそうです。

藤原:(スマホからのコメント入力で)「すごく面白い意見を書いてくれたのは誰?」と言って、手が挙がったら話してもらう。その気になれば、もっと詳しいことを話してくれます。もちろん恥ずかしかったら手を挙げなくてもいいのです。

 このようなシーンを何度か目にすると、普段の授業で手を挙げられなかったこと、言えなかったことがだんだん生徒の心にひっかかってくる。それがすごく面白い。例えば、家庭でおばあちゃんを介護している生徒は、安楽死について自分なりの意見を持っていたりします。

 これまで聞いたことがなかった意見に触れると、生徒同士がお互いを見直すきっかけにもなる。いつも手を挙げて成績も優秀な5人と、普段は授業で目立たない3人が意見を言い合えるようになります。するとみんなの表情も変わってくる。あの子は私とは違う面白い意見を持っているんだと気づいて、並列の関係になります。スマホを使えば、それまで気づかなかった世界が見える。発言するのは無理だと思っていたはずの生徒が、茂木さんに質問できるようになります。

 このようにすれば、正解至上主義じゃない世界が開ける。正解しないといけないというプレッシャーから解放されるのです。手を挙げて意見を言ってもらう仕組みでは難しいことができるようになる。だから意見を聞くのは、スマホを使って違う空間でやらせた方がいいと私は思います。

九門:きっといろいろ考えているんだろうなと漠然と思っていても、顕在化しなかったものが見えるようになれば、みんな発言しやすくなりそうです。

藤原:若者はスマホでいつもLINE(ライン)を使っていて文字を打ち慣れています。自分自身と一体化しているようなもので、入力が本当に早いのです。

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