驚くべき「メガ都立構想」

藤原:富士高校の野村校長には「メガ都立構想」というアイデアがあります。野村校長の発想はユニークで、「本当に大丈夫か?」という声もあったようですが、都立の日比谷高校と西高校が同意してくれました。

 この英語の授業は「出島」のような存在ですね。富士高校の授業に出席しながら、日比谷や西の先生の授業を見ていても叱られない。将来的には都立高のどこに入学しても、ほかの学校のあらゆる授業を受けられるようにしたいというアイデアです。

 発信する道具としてのスマホは便利です。大人には学校で使うIT端末はタブレットがいいという考えがあり、全員に配る学校も多い。それでもタブレットは発信端末としては使いにくく、子供たちにとっては使い慣れたスマホの方がいいのです。

 授業中に生徒たちが自分の意見を30文字で発信すると、教室の前にあるスクリーンにずらりと表示されます。不用意な発言や、まとまらない意見も良くでますが、それがむしろいい。打ってみてこれはダメだと思っても必ず発信しないといけないルールにしています。

 例えば、脳科学者の茂木健一郎さんが授業にやってくると、みんなから質問が出る。「みんなが知っている人だから全員質問ね」と言うとスマホで質問を打ってきます。2分間に200字打つことができる子供が多いので、たくさん質問が出ます。真面目な質問もあれば、「茂木さんのもじゃもじゃの髪の毛は天然ですか」といった面白い質問も出ます。

それは都立富士の生徒に限らず、多くの日本人が気になる質問かもしれません(笑)。

藤原:「自分の意見を言いなさい」と問われて、手を挙げる生徒がほとんどいないより、スマホから発信した方が、はるかに活発に質問が出ます。守旧派の人は、生(なま)のコミュニケーションは大事だと言いますが、言葉が出なくなるよりも、はるかにいいでしょう。子供たちがしょっちゅう使っているスマホで磨いた言語能力を活かせばいい。コメントもデータとして残るので、4段階などで評価することも可能です。

 スマホ活用は、意見を言えない日本人という問題にどう向き合うべきなのかを考えて一条高校で始めました。富士高校でも3年やれば、「正解しか言っちゃいけない」という日本独特の同調圧力から逃れられる可能性がある。中学生以上は全員、スマホから発言させた方がいいと私は思っています。思考することの練習にもなりますから。ここまでやらないと日本人は「正解至上主義」の呪縛から逃れられないのではないでしょうか。

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